ネット上の論文媒体であるPLoS ONEに掲載された論文(図は調査対象示す)

 バングラディッシュの生鳥市場や家禽農家で流行している鳥インフルエンザウイルスは、主としてH9亜型であることが報告された。また、生鳥市場や家禽農家におけるH9N2型に感染している鳥の割合は16.5%と推定され、他国からの報告より高いことも明らかになった。米国St.Jude Children's Research Hospitalなどの研究グループが、ネット上の論文媒体であるPLoS ONEに発表した。

 バングラデシュにおける鳥インフルエンザサーベイランスは、家禽農家などからの自発的な報告に依存しており、正確な実態把握が不十分だった。研究グループは、同国において積極的疫学調査を実施し、鳥インフルエンザ流行の実態を明らかにした。

 調査対象は、ダッカ市内の数カ所の生鳥市場およびアウトブレーク報告のあった地方農村など10カ所以上に上った。実施期間は2008年11月から2009年4月までと、2009年12月から2010年6月までの2回。毎月300から600件の検体を採取し、ウイルス分離およびリアルタイムRT-PCR検査を実施した。

 その結果、5715検体が採取され、252検体からウイルスが分離された。分離率は20.4%だった。亜型を調べると、分離ウイルスの94.2%はH9亜型(完全に亜型同定ができたものは全てH9N2)だった。このほか、H1N2、H1N3、H3N6、H4N2、H5N1、H10N7などが分離された。高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1は、0.08%とわずかであった。

 検出されたウイルスのほとんどがH9亜型であったことを踏まえ、バングラデシュの生鳥市場や家禽農家におけるH9N2型に感染している鳥の割合を推定したことろ16.5%となり、韓国などからの報告(7-8%)より高いことが分かった。

 研究者らは、バングラディッシュの生鳥市場や家禽農家ではH9N2の流行が主流であり、高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1の検出例がわずかだったことから、同国における高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒト感染のリスクは無視していいレベルと考察している。ただし、H9N2とH5N1の遺伝子再集合の可能性はまったくないわけではなく、今後も生鳥市場や家禽農家における積極的疫学調査を実施することが重要と結んでいる。