インフルエンザウイルスについて、至適温度が明らかになっているRNAポリメラーゼに着目し温度の感受性を調べたところ、ウイルス株ごとに異なることが分かった。特に、RNAポリメラーゼを構成するPAサブユニットが温度特性の変化において重要な役割を担っていることも明らかになった。久留米大学柏木孝仁氏らが4月21、22日と東京で開催された日本感染症学会で報告した。

 鳥やブタあるいはヒトと、異なる体温を持つ宿主に感染するインフルエンザウイルスは、効率的に増殖するため、それぞれの宿主の体温に適応していると考えられている。すでに、RNAポリメラーゼを構成するサブユニットPB1、PB2、PAのうち、PB2は低温での複製に適応する「低温訓化」に関わることが知られている。

 演者らは、ほかのPB1とPAサブユニットについて、温度感受性における役割を明らかにするため検討を行った。

 対象としたウイルスは、2009年の新型インフルエンザウイルスに由来するA/Kurume/K0910/2009(H1N1)のほか、A/WSN/33(H1N1)、A/HK/156/97(H5N1)、A/NT/60/68(H3N2)、A/Vietnam/1194/2004(H5N1)などの株。それぞれのポリメラーゼ複合体を細胞内に構築し、温度を変えながらRNAポリメラーゼの活性を解析した。

 その結果、株ごとにRNAポリメラーゼの温度感受性が異なることが分かった。特に、PAサブユニットが重要な役割を担っていることも明らかになった。具体的には、A/Kurume/K0910/2009(H1N1)は、温度変化に対して寛容なポリメラーゼを持っており、様々な温度で活性を示した。一方、A/WSN/33(H1N1)のポリメラーゼは、低温に順応した活性があり、高温では複製能が低下した。逆に、A/Vietnam/1194/2004(H5N1)のポリメラーゼは高温に適応していた。

 演者らは、「株ごとにポリメラーゼの温度特性が大きく異なることが分かった」と結論。「特に、PAサブユニットが温度特性の変化において重要な役割を担っている」と指摘した。サブユニットの入れ換えにより温度特性が変化することから、こうしたポリメラーゼの構成の変化が宿主体温の違いに適応するカギとなっていることを示唆したものとして注目される。