新型インフルエンザA/H1N1pdm)の小児入院例のうち31%に気管支喘息があり、重症肺炎での入院例では48%に認めるなど、重症例において「喘息の既往」の占める割合が大きいことが分かった。徳島赤十字病院小児科における入院症例の分析で明らかになった。同病院小児科の七條光市氏が2月18日、19日と横浜で開催された日本環境感染症学会で発表した。

 徳島赤十字病院小児科は、徳島県の小児救急医療の拠点病院に指定されており、24時間体制で小児科診療に当たっている。小児科医は、時間的な過重労働を避ける目的で、当直制ではなく2交代勤務制をとって診療に当たっている。小児科だけでなく、同病院のすべての診療科が救急診療の要請に24時間で対応。検査部や放射線部、薬剤部なども24時間体制で対応している。

 演者らは同病院の役割を見直す上でもA/H1N1pdmの小児入院例の検討は欠かせないと考え、今回の解析を行った。

 対象は2009年10月から2010年4月までに入院したA/H1N1pdmの小児114例(男性61人、女性53人)。年齢は5〜7歳に特に多く、入院時期は2009年11月末から12月にかけてピークを迎えていた。

 入院の理由は、呼吸困難が50%と最も多く、脱水が21%、けいれんが16%、家人の不安が8%、せん妄が5%などだった。呼吸困難例では、発熱後24時間以内に呼吸障害が現れた症例が74%にのぼった。発熱から呼吸障害出現までの時間をみたところ、6時間以内が10%、6〜12時間が23%、12〜24時間が41%、1日以降が26%だった。

 入院症例の内訳は、ICU入院が2例(肺炎2例)、救命病棟の入院が5例(肺炎3例、意識障害とけいれんが1例ずつ)だった。症状としては、肺炎が38例(33%)、肺炎で酸素投入を必要とした重症肺炎が23例(20%)、けいれんが21例(18%)、熱せん妄や異常行動が6例(5%)などだった。

 治療面では、呼吸障害に対するステロイド剤使用例、酵素投与を必要とした症例、イソプロテレノール持続吸入例がそれぞれ33例ずつあった。抗インフルエンザ薬による治療は、タミフルが72例、リレンザが40例、未使用が2例だった。抗菌剤の使用例は27例あった。また、酸素投与例の投与期間は2〜9日間(平均3.5日間)だった。予後については、後遺症例や死亡例はなかった。

 特徴の1つは、基礎疾患として喘息のある例が目立った点だ。気管支喘息は入院患者114例のうち35例(31%)にあり、このうち肺炎で入院の38例では14例(37%)に、重症肺炎で入院の23例では11例(48%)に喘息の既往を認めた(表1)。喘息既往を認めた入院例で喘息発作を起こしたのは、35例中20例(大発作10例、中発作5例、小発作5例)だった。なお、他の基礎疾患としては、7例にてんかんの既往があった。

表1 小児入院例における基礎疾患の有無(発表から作成)

 喘息の大発作を認めた10例を精査すると、ほとんどの症例が定期的な喘息の加療を受けていないことも明らかになった。

 演者らは、入院例の全例が後遺症もなく退院できたことを評価。重症児への早期対応という面で病診連携が大切であることが改めて示されたとし、加えて、24時間365日対応する徳島赤十字病院の役割が十分に機能したことも重症化阻止に貢献したとのではないかと考察した。

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