図1 咳エチケットという言葉を聞いたことがあるか(発表から作成)

 薬学部と看護専門学校の新入生は、咳エチケットの認識度が低い一方で、マスク着用の習慣を身につけた人は多いことが分かった。新型インフルエンザA/H1N1pdm)の流行後に入学した新入生を対象に行ったアンケート調査で明らかになった。慶応義塾大学薬学部実務薬学講座の早川香菜絵氏らが、2月18日、19日と横浜で開催された日本環境感染症学会で発表した。

 研究グループは、インフルエンザの防止には咳エチケットが欠かせないとの前提に立ち、薬学部と看護専門学校の学生が咳エチケットをよく理解し実行することは流行防止にも貢献できると考え、今回の調査を実施した。

 対象は慶応義塾大学薬学部の1年生229人(男性107人、女性122人)と慈恵第三看護専門学校の1年生57人(男性4人、女性53人)。調査時期は2010年5月で、調査は無記名選択方式のアンケート調査だった。

 アンケートではまず、咳エチケットという言葉を聞いたことがあるかどうかを尋ねた。その結果、「知っている」と回答したのは、薬学生(n=229)で58%、看護学生(n=57)で37%だった(図1)。

図2 咳エチケットの意味を理解しているか(発表から作成)

 「知っている」と回答した学生には、その情報源を尋ねているが、薬学生(n=132)の47%、看護学生(n=21)の33%が「テレビ」と回答した。「病院掲示」も薬学生の33%、看護学生の43%があげた。

 また、「知っている」と回答した学生に咳エチケットの意味を理解しているかどうかも尋ねている。その結果、「正確に理解」と回答したのは、薬学生(n=132)の10%に過ぎなかった。看護学生(n=21)で「正確に理解」と回答したのはゼロだった。「だいたい理解」との回答は、薬学生の42%、看護学生の48%、「少し理解」の回答は、薬学生の47%、看護学生の52%だった(図2)。

 「正確に理解」と回答した薬学生(n=13)に情報源を選んでもらったところ、「テレビ」が50%、「病院掲示」が40%程度だった。

 調査では、咳エチケットの認識とは別に、「咳やくしゃみが出ているときに混んでいる電車に乗る場合にマスクをするかどうか」も尋ねている。その結果、「必ずする」と回答したのは、薬学生(n=229)の16%、看護学生(n=57)の18%だった。また、「するときが多い」との回答は、薬学生の38%、看護学生の47%で、マスク着用の習慣が身についている学生はそれぞれ半数以上だった。ただし、咳エチケットとの知識との関連性は認められなかった。

 これらの結果から演者らは、「新型インフルエンザ流行後に入学した薬学部と看護学校の新入生は、咳エチケットの認識度は低かったが、マスク着用の習慣が身についている学生が多いことも分かった」とし、薬学部あるいは看護専門学校での教育が重要であることが確認されたと結論した。


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