厚生労働省は2月10日、今シーズンのインフルエンザ発生動向をまとめ、医療従事者向け疫学情報として発表した。重症患者や死亡例で高年齢へのシフトが見られ、基礎疾患保有割合が依然として高いなどの特徴が浮かび上がっている。今後とも、昨シーズン罹患しなかった人や基礎疾患の保有割合が高い中高年へ感染が拡大していく可能性があるとし、引き続き注意を呼びかけている。

 疫学情報によると、今シーズンにおいて、1月末までに国民の26人に1人がインフルエンザ様症状で医療機関を受診し、受診者の3万人に1人は重症化し、受診者の9万人に1人が死亡したと推計している。

 重症者は188人で、このうち男性が129人と昨シーズン同様、男性の占める割合が高くなっている。年齢分布をみると、平均年齢が37.1歳で、昨年の20.4歳から高年齢へのシフトが認められる。基礎疾患の保有率は62%で、昨年の47%から高くなっている。

 死亡例は57人で、男性が39人と昨シーズン同様、高くなっている。こちらも、平均年齢が56.6歳と昨年の48.1歳から高年齢へのシフトが認められる。基礎疾患の保有割合は84%で、昨年の72%を越えている。

 重症者に見られる症状については、今シーズンも発熱(100%)、咳嗽(41.7%)、意識障害(36.1%)などが多くなっており、昨シーズンと比較すると症状の上位にほとんど差はない(図1)。

図1 重症患者にみられた症状(症状の報告例、重複あり)
*2010年9月6日から2011年1月30日の報告まで(厚生労働省)

 死亡例の重症化リスクとなる基礎疾患については、昨シーズンと違い、15歳未満の小児においても基礎疾患の保有率が高い傾向がみられた。昨シーズンは、高齢者ほど基礎疾患の保有が高く、小児は低い傾向にあった。ただし、症例数が十分でないことなどから「慎重な解釈が必要」と指摘している。

 死因については、全死亡57例中、詳細なデータのある20例をみたところ、肺炎が18例、脳症・脳炎が2例、心筋炎が1例となっている。肺炎のうち9例がウイルス性肺炎で、5例が細菌性肺炎、4例がその他の肺炎だった。

 なお、死亡例のうち詳細なデータのある55例について、抗インフルエンザ薬の投与状況をみているが、48例(87%)に抗インフルエンザ薬が投与されていた。その内訳は、タミフルが30例(55%)、ラピアクタが12例(21%)、タミフルとラピアクタの併用が6例(11%)で、リレンザ単独、リレンザとラピアクタ併用およびタミフルとリレンザ併用は、それぞれ0例だった。また、発症から投与までの平均日数は1.5日(中央値1.0日)、発症日から投与開始日までの期間が3日以上だった症例は28%(29例中8例)だった。昨シーズンは発症から投与までの平均日数は2.3日(中央値1.0日)、発症日から投与開始日までの期間が3日以上だった症例は28%(159例中44例)だった。