廣津医院(川崎市)院長の廣津伸夫氏

 今シーズンの流行株は、年齢層で異なっていることが分かった。川崎市の廣津医院院長の廣津伸夫氏(写真)によると、これまでに流行ウイルスのタイプが確認できた50例余を集計したところ、小児ではA香港型が、成人では新型(A/H1N1pdm)が主流という傾向が明らかになった。

 廣津氏によると、今シーズンのインフルエンザ患者140人あまりのうち、これまでにA型のタイプが確定できたのは50例余に上る。廣津医院では昨年末から、川崎市衛生研究所で行ったウイルス分離の結果に加え、通常の迅速診断キットとA/H1N1pdmを診断できるラインジャッジFluA/pdm(タウンズ社製、昨年末から研究試薬として販売)を組み合わせることで、A型のタイプを判別している。その結果、これまでに確認できた51例について、年齢層別にA型タイプをみたところ、小児ではA香港型が優勢で、成人ではA/H1N1pdmが主流である傾向が明らかになった(図1)。

図1 年齢層別にみたA型のタイプ(廣津氏による)

 廣津氏は、成人でA/H1N1pdmが主流になっている理由について、昨年同様の対策(各企業でとられていた感染者の出社制限、マスク着用、ワクチン接種の奨励、家族に感染者が出た場合の対応など)が、今季はほとんどとられていない点を挙げる。対策の中には行き過ぎという指摘を受けたものもあったが、こうした「社会的隔離」対策のタガが緩んでしまっているため、成人で新型が流行しているという見方だ。

 小児についても廣津氏の心配の種は尽きない。家族内感染は、A/H1N1pdmの方が季節性より低いという結果が報告されている。「これは、家庭内での対策がしっかりとられていたからであり、現在のようなタガの緩んだ状態が続くならば、昨年、家族内対策で守られていた乳幼児らに感染が広がっていく危険性がある」(廣津氏)と警戒している。

 結果として、日本におけるA/H1N1pdmのインパクトは弱かった。しかし、それは家庭内あるいは職場内での対策も功を奏したからであることを、もう一度思い出すべきだろう。そのタガが緩んでいるとしたら、今季のA/H1N1pdmの再来は、脅威以外のなにものでもない。

■参考情報
ラインジャッジFluA/pdm(タウンズ社製)


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