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 タミフルによる治療を受けた患者のうち8.3%から耐性ウイルスが検出されたが、リレンザによる治療を受けた患者からは耐性ウイルスは検出されなかったことが報告された。東京大医科学研究所河岡義裕氏らの研究グループが明らかにしたもので、成果は1月19日、Clinical Infectious Diseasesの電子版で公開された。

 研究グループは、タミフル耐性ウイルスの分離は世界中で報告されているのに対し、リレンザ耐性ウイルスについての報告は極めて限られていることから、これらの抗インフルエンザ薬を投与された小児インフルエンザ患者を対象に、薬剤耐性ウイルスの出現頻度とウイルス排出について比較検討した。

 対象は、2005/06、2006/07、2007/08、2008/09の4シーズンに、けいゆう病院(横浜市)をはじめとする4病院で迅速診断キットで陽性だった患児144人。発症から48時間以内にタミフルあるいはリレンザの投与を開始し、タミフルを投与した患者は72人(タミフル群)、リレンザを投与した患者は72人(リレンザ群)だった。なお、投与量は、タミフルが4mg/kg/日(分2、5日間)、リレンザが20mg/日(分2、5日間)だった。検体は、初回受診時の薬剤投与前、投与開始から3〜4日、投与開始から5〜7日に採取した。入院患者はおらず、全員が外来受診だった。

 この2群間で、インフルエンザウイルスのタイプ、患者年齢、性別、ワクチン歴、臨床経過などの患者背景に差はなかった。

 調査の結果、タミフルで治療した患者の6人から耐性ウイルスが確認された。薬剤耐性発生頻度は8.3%だった。一方、リレンザで治療した患者からは耐性ウイルスは検出されなかった(p=0.03)。

 6人の検体から分離されたタミフル耐性ウイルスは、A香港型(Arg292Lys)が3例、Aソ連型(His274Tyr)が2例、A香港型(Glu119Val)が1例だった。

 なお、ウイルスの排出期間については、投与開始から3〜4日で、ウイルス排出患者の割合はタミフル群が68%(60人中41人)、リレンザ群が50%(50人中25人)で2群間に有意差はなかった。ところが投与開始5〜7日では、タミフル群が69%(33人中23人)だったのに対し、リレンザ群は39%(33人中13人)で有意に少ないという結果だった(p=0.008)。この点ついて研究グループは、リレンザはタミフルよりも効率的にウイルス排出を抑制することが示唆されたとした。

 これらの結果から研究グループは、リレンザは吸入可能な小児患者にとって優れた治療薬である可能性が示唆された、と結論付けた。


■参考文献
Frequency of Drug-resistant Viruses and Virus Shedding in Pediatric Influenza Patients Treated With Neuraminidase Inhibitors(Clinical Infectious Diseasesの電子版)


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