わが国の季節性インフルエンザによる超過死亡は、年平均で1万人超と推定されることが明らかになった。また、インフルエンザの予防接種との関連性の検討では、予防接種が超過死亡を抑制していた可能性も示された。国立保健医療科学院逢見憲一氏らが10月に東京で開催された日本公衆衛生学会で発表した。

 調査対象期間は、1952年1月から2008年12月まで。人口動態統計を用いてインフルエンザ流行月における超過死亡を推計した。

 その結果、1952〜2008年に、インフルエンザによる超過死亡が確認されたのは74月で、74万3592人と推定された。年平均で1万3045人となった。

 昨年発生した新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)による超過死亡については、国立感染研究所が実施しているインフルエンザ関連死亡迅速把握システムによると、2010年4月28日現在で、季節性インフルエンザを凌駕するような超過死亡は発生していない。つまり、超過死亡という点では、A/H1N1pdmより季節性インフルエンザのインパクトの方が大きいということになる。

 一方、逢見氏らは、インフルエンザの予防接種と超過死亡の関連性も検討している。わが国の予防接種制度の時期別に、年平均超過死亡率(1000人当たり)を求めたところ、予防接種制度の導入前(1952〜62年)は、0.22となった。日本で学童への勧奨接種が行われていた1963〜76年には、0.15だった。これに対し、予防接種が予防接種法の定期接種に含まれていた1977〜87年には、0.05と、勧奨接種の時代の3分の1に急減していた。接種時に保護者の意向に配慮することが義務付けられた1988〜94年は、0.05と変動はなかった。

 ところが学童への予防接種が批判を受け接種が任意となった1995〜2001年には、0.17と定期接種化の時代の3倍以上に上昇するという結果だった。

 なお、高齢者への予防接種法による接種が行われるようになった2002年以降は、0.06に減少していた。

 演者らは、これらのデータから予防接種がインフルエンザによる超過死亡を抑制していた可能性が示唆された、と結論した。

表1 予防接種制度別に見た超過死亡率(1000人当たり。国立保健医療科学院の逢見憲一氏らの発表から)

予防接種制度別(期間)超過死亡率(1000人当たり)
予防接種制度の導入前(1952〜62年)0.22
学童への勧奨接種時期(1963〜76年)0.15
定期接種に含まれた時期(1977〜87年)0.05
接種時に保護者の意向に配慮することが義務付けられた時期(1988〜94年)0.05
接種が任意となった時期(1995〜2001年)0.17
高齢者への予防接種法による接種(2002年以降)0.06

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