2009年に発生した新型インフルエンザ(以下、A/H1N1pdm)の家庭内2次感染率は、季節性インフルエンザに比べて低く、4〜14%程度とされてきた。しかし、感染者家族に対する前向きコホート研究の結果、45%程度と季節性とほとんどかわらない水準である可能性が示された。カナダ・ケベック州Laval大学のJ.Papenburg氏らが9月にボストンで開催されたICAAC2010で報告した。

 Papenburg氏らは、2009年5〜7月にケベック市内でA/H1N1pdmを発症し感染が確認された患者の同居家族について、前向き観察研究を実施した。この時期はケベック市における流行第一波に当たる。

 初発感染者はインフルエンザ様疾患を発症し、RT-PCR検査によって新型インフルエンザウイルス感染陽性が確定した42世帯の43人。この患者らの家庭内接触者119人を追跡の対象とした。

 対象家庭については、初期訪問後、初発患者の発症8日目、11日目、および3-4週間目に、質問票により、臨床的データを集めた。

 なお、2次感染確定例は、有症、無症候にかかわらず、初発患者の感染後にA/H1N1pdmウイルスに感染し、RT-PCR検査、または血清抗体検査で陽性とされたものとした。インフルエンザ様疾患(ILI)は、他の疾患で説明できない発熱と咳、または咽頭痛がある場合とした。

 対象とした家庭内接触者は0〜6歳が10%、7〜17歳が29%、18歳以上が61%で、平均年齢が26.90歳だった。初発患者は0〜6歳が28%、7〜17歳が58%、18歳以上が14%で、18歳未満が86%と多かった。

 追跡中に53人(45%)が2次感染確定例となった。感染者のうちインフルエンザ様疾患を発症したのは31人(58%)、1人(1.9%)は消化器症状のみだった。5人(9.4%)は全く無症候だった。全42世帯中、81%に当たる34世帯で、1人以上の2次感染者が発生した。新型インフルエンザウイルスに2次感染してILIを発症したのは、全追跡者の29%だった。

 初発感染者と有症2次感染者(48例)の発症時期のずれをみると、翌日が11例と最も多く、5日後までに8割に当たる38例が発症した。中央値は3.9日だった。

 2次感染確定例のうち、13例に下痢、7例に嘔吐がみられ、消化器症状が多いことが特徴的だった。また、初発患者の症状と2次確定感染率の関連をみると、最も高かったのは、嘔吐で68%、次いで下痢の53%だった。

 Papenburg氏は、これらの結果について、「2009年の新型インフルエンザ初期流行では、従来の報告とは異なり、2次感染率が高く、家庭内接触者のほぼ半数にのぼったことが分かった。初発患者に消化器症状があった場合には、2次感染率が高く、あくまで推論だが、家庭内における糞口感染の存在を示唆するものだった」とした。

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