約1カ月ほど以前から、またもやインドネシア発の鳥インフルエンザ関連報道がかまびすしくなっている。鳥の感染による大量死の報道、ヒト感染の“疑い例”の報道(その多くは続報が続かないままうやむやになることも多いのだが)など。

 インドネシア現地報道、そのひとつ一つの信頼性までを検証する術を筆者は持たない。しかし、その報道量の増減で、ベースの部分で“何か起こっているのか?”と感じ取ることはできそうだ。新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)ウォッチャーの集まるサイト(たとえばFluwiki)にリンクが貼られる件数、つまり、「あるレベルの“目利き”の眼を通った報道の数」を一つの目安にするのも一法だ。

 たとえば中国のように政府当局が報道をコントロールするわけでもないこの国で、報道量の自然増、さらに内容的にも「当局による平静呼びかけ」や「警戒警報発令」などは要注目だ。

 そういうわけで、ここ1カ月ばかり目立つ、インドネシア発鳥インフルエンザ報道を紹介しよう。読者の皆さんは何を感じられるだろうか。

インドネシア保健省疾病コントロール局長、平静を呼びかけ
 Tjandra Yoga Aditama局長は、「ほとんどの州で鳥インフルエンザ発生しているのは事実だが、ヒト感染数は減少している」と国民に平静を呼びかけている(10月10日付JakartaGlobe)。
 著者注:当局が国民に平静を呼びかけねばならない状況というのは、社会不安が亢進した空気があると解釈して良いのではと思われる。

南スラウェシ州の6県で鳥インフルエンザ発生
 同州6県であわせて1万8000羽が急死(10月7日付The Jakarta Post)。

南スラウェシ州、過去4カ月で4万9000羽死亡
 殺処分および移動制限発令(10月10日付Mcot)。

東カリマンタン州Balikpapanで警戒警報発令
 数十羽単位の鶏死亡(H5N1)を受けて警報段階宣言(10月5日付Republika)。

Sidrapでヒト感染18名疑い(9月28日付 ParePos)
 著者注:“ヒト感染疑い”報道が続報続かず予後の分からないことが多いが、件数がここのところ増えている。

マカッサルで4人疑い(9月29日付Tekno)

さらに加えて3例疑い(10月1日付Pare Pos)

近畿医療福祉大学 勝田吉彰氏


 過去のパンデミック時と今回の大きな違いの1つは、インターネットによる情報提供が力を発揮していることだろう。2003年のSARSの流行時に、北京で日本大使館医務官だった勝田吉彰氏(近畿医療福祉大学)は、「ちぎっては投げ方式でこまめに情報提供をすることで、現地の日本人社会の不安を和らげた」と振り返る。新型インフルエンザが騒がれるようになってからは、このときの経験を元にブログ「新型インフルエンザ・ウォッチング日記」を立ち上げ、日々情報を発信し続けている。最近はツイッター(http://twitter.com/tabibito12)でも情報発信に取り組んでいる。勝田氏に「今、忘れてはならないこと」を綴っていただく(「パンデミックに挑む」編集)。