5月12日に鹿児島沖永良部島で確認された新型インフルエンザA/H1N1pdm)の集団発生において、ウイルスの抗原変異は認められなかった。鹿児島県環境保健センターが7月13日、病原微生物検出情報(IASR)に最終報告を発表した。感染者の中にワクチン接種者が多く含まれていたため、ウイルスの抗原変異の可能性が指摘されていた。

 最終報告によると、リアルタイムRT-PCRで陽性だった9検体の鼻腔ぬぐい液をMDCK細胞に接種し、6検体からインフルエンザウイルスが分離された。その分離されたウイルス6株について、国立感染症研究所が配布した2009/10シーズン新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)ウイルス同定用キットを用い、赤血球凝集抑制(HI)試験(0.75%モルモット赤血球を使用)を行った結果、抗A/California/7/2009(H1N1) pdm抗体 (ホモ価5120)に対して、2560〜5120とホモ価に近い力価を示した。

 注目された遺伝子解析については、分離されたウイルス6株中の4検体(56歳;ワクチン未接種、15歳;季節性および新型ワクチン接種、8歳;新型ワクチンのみ接種、6歳;新型ワクチンのみ接種)について国立感染症研究所に解析を依頼していた。

 解析の結果、4株とも遺伝子的には同一で、ワクチン株A/California/7/2009(H1N1) pdmに対する抗原変異株で見られる153-156番目の領域のアミノ酸に変化はなかった。これは、抗原性がワクチン株と類似していたという結果を支持するものだった。また、 HA系統樹から、これら分離株は、流行の主流であるS203Tクレードに含まれていることが確認された。

 NA遺伝子の解析では、275番目のアミノ酸はヒスチジン(H275)であり、オセルタミビル感受性だった。

 これらのことから、今回の沖永良部島で集団発生した新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)のウイルス株については、「特に抗原の変異が認められないインフルエンザウイルスであり、昨年度流行したインフルエンザウイルスと同等のもの」と結論付けた。

 鹿児島県環境保健センターによると、今回の沖永良部島での事例後は、県内では大きな集団感染は発生していない。