13%もの看護師が、インフルエンザワクチン接種の準備作業中に、ミスあるいはヒヤリ・ハットを経験していた。その内容は、「充填量の間違い」がもっとも多く、「器具の破損」「器具の取り違え」が続いた。昨シーズンにインフルエンザワクチンの接種業務に携わった経験のある看護師1000人を対象とした調査で明らかになった。

 調査を実施したのは、日本ベクトン・ディッキンソン社。調査対象は、2009年10月から2010年2月の間に新型インフルエンザあるいは季節性インフルエンザのワクチンを患者に接種したことのある全国の看護師1000人。2010年5月14日から28日まで、インターネットによるアンケートを実施し、回答を集計した。

 調査ではまず、バイアル製剤の取り扱いにおける負担や不安感、負担と感じる理由、不安と感じる理由などを尋ねた。それによるとバイアル製剤の取り扱いが「やや負担である」は378人(37.8%)、「負担である」が167人(16.7%)で、両者を合わせると過半数の人が「負担である」と回答した。この「負担である」と回答した545人に理由を尋ねたところ、「開封後の使用期限があるため、事前に充填することができないので準備が当日しかできない」がもっとも多かった。

 バイアル製剤の取り扱いの際に不安を感じたことがあるかどうかについては、「ある」が408人(40.8%)と半数近くの人が不安を感じていた。不安を感じたことが「ある」と回答した408人に理由を尋ねたところ、「ワクチンを注射器に充填する際に投与量が正確かどうか」をもっとも不安な点としてあげる人が多く、209人に上った。

 こうした負担感や不安は、実際の作業において、好ましくない結果に結びついていた。

 調査では、実際の接種準備の作業中にミスやヒヤリ・ハットを経験したことがあるかどうか尋ねた。その結果、「ある」と回答したのは1000人中130人で13.0%だった。「ない」は840人(84.0%)、「わからない」は30人(3.0%)だった。

 「ある」と回答した130人にいくつかの選択肢を提示した上で、ミスやヒヤリ・ハットの理由の上位3つを尋ねたところ、「注射器にワクチンを引く際、充填する量を間違えた」が114人でもっとも多かった。「器具の破損」が106人、「器具の取り違い」が65人、「ワクチンの取り違い」が52人と続いた。「使用期限が過ぎてしまったワクチンを使用」も32人が挙げていた。

 この130人にミスやヒヤリ・ハットの原因を尋ねたところ、「接種業務による多忙のため」を選んだ人が68人、「煩雑な作業による疲労」が33人などだった。「緊急の仕事が入り接種業務を中断されてしまった」が11人、「器具の扱いに不慣れだった」も9人が挙げていた。

日本医科大学付属病院の医療安全管理部感染制御室の藤田昌久氏

 今回の調査結果をもとに講演を行った日本医科大学付属病院の医療安全管理部感染制御室の藤田昌久氏(写真)は、「ワクチンの準備作業は、接種当日に集中するため、必要量の充填、清潔操作の点でミスを犯す危険性が高い。また、バイヤル製剤の場合は、開封後の使用期限があるため、管理が煩雑になる可能性もある」などと指摘。接種業務の効率化を進めるとともに、医療安全あるいは感染管理の視点からミスを防ぐシステム作りが求められているとし、たとえば、バイヤル製剤ではなく、注射器にあらかじめワクチンを充填したプレフィルドシリンジ製剤の導入を進めることも検討すべきであると訴えた。