新型インフルエンザに関連した成人肺炎の臨床像が明らかにされつつある。呼吸器科医師を対象にしたアンケートの中間的な集計によると、成人肺炎の68%に基礎疾患があったことが明らかになった。そのうち慢性呼吸器疾患が最も多かったが、日本人では少ないと指摘されていた「肥満」が意外に多いことも分かった。防衛医科大学川名明彦氏が6月3日、長崎で開催中の日本化学療法学会のシンポジウム「インフルンザの重症化メカニズムと対策」(共催;グラクソ・スミスクライン)で報告した。

 川名氏らは、新型インフルエンザに関連した成人肺炎の臨床像を明らかにする目的で、全国の呼吸器内科2500施設にアンケートを送付。新型インフルエンザ感染に伴う成人(20歳以上)の肺炎症例で、2009年5月10日から2010年3月31日までの間に罹患した症例について、臨床的な特徴を解析している。今回は、これまでに集計した90例についての解析結果を報告した。

 それによると、32%は「基礎疾患がなし」で、68%に何らかの基礎疾患を認めた。基礎疾患で最も多かったのは、慢性呼吸器疾患だった(全体の約32%)。「肥満」も10人と多く、「日本では少ないと見られていたが、意外と多いという印象だ」(川名氏)という。このほか「糖尿病」や「喫煙」なども基礎疾患の内訳で上位にあった。

 年齢層別では、30歳以上〜40歳未満が19人と最も多く、これに50〜60歳未満、70〜80歳未満、80歳以上が、それぞれ13人で続いた。

 臨床診断は、ウイルス細菌混合性肺炎が41%(37人)で最も多く、純インフルエンザ肺炎も26%(23人)と目立っていた。川名氏は、「季節性インフルエンザでは珍しいこともあって、純インフルエンザ肺炎の報告が多くなった可能性はあるが、新型インフルエンザでは純インフルエンザ肺炎が少なくないことが示唆された」と指摘した。

 予後については、混合性肺炎(37人)で7人、純インフルエンザ肺炎(23人)で3人、二次性細菌性肺炎(20人)で2人が、それぞれ死亡していた。

 なお、ウイルス細菌混合性肺炎および二次性細菌性肺炎の主たる起炎菌はS.pneumoniaeで、57例のうち34%に認めた。

 調査は6月30日を期限として現在も進行中である。川名氏は、「新型インフルエンザに関連した成人肺炎の臨床像の詳細を明らかにすることは次につながる貴重なデータとなる」とし、さらなる症例集積への協力を呼びかけた。