新型インフルエンザの重症例とウイルス変異について、新たな知見が集積されている。変異の1つであるD222G変異の検出は重症例で目立ち、統計的にも有意な相関が認められることが分かった。今後とも、ウイルスのサーベイランスにおいて、注視すべきポイントとなる。

 欧州疫学週報によると、香港のG. C. Mak氏らは、2009年5月1日から2010年1月31日までの間に、香港で採取された検体458例についてウイルス遺伝子の解析を行った。その結果、9例から、HAタンパク質をコードする遺伝子におけるD222G変異が検出された。検出率は2.0%だった。

 重症例(219例)と軽症例(239例)に分けて比較すると、9例はすべて重症例から検出されたもので、軽症者からは1例も検出されなかった。統計的には、重症例で有意に多いという結果となった(p値=0.002)。なお、重症者9人のうち4人は死亡している。

 同様の傾向はノルウェーや英国からも報告されている。ノルウェーでは、A. Kilander氏らの報告によると、重症例におけるD222G変異の割合は18%だった。また、死亡した27例中8例にD222G変異が検出されている。一方で軽症例では、34例中3例からの検出にとどまっている。

 英のR. S. Miller氏らによると、2009〜2010年シーズンに西スコットランドで確認された重症例61人のうち11人(18%)に、この変異が検出されている。一方、軽症例205人では、一例も変異は見られていない。


■参考文献
・Eurosurveillance, Volume 15, Issue 14
Lette;Assoiation of D222G substitution in haemagglutinin of 2009 pandemic influenza A (H1N1) with severe disease
・Eurosurveillance, Volume 15, Issue 14
Letters;Author's reply: Association of D222G substitution in haemagglutinin of 2009 pandemic influenza A (H1N1) with severe disease
・Eurosurveillance, Volume 15, Issue 16
Letters;Occurrence of haemagglutinin mutation D222G in pandemic influenza A(H1N1) infected patients in the West of Scotland, United Kingdom, 2009-10