2010年に入って確認された鳥インフルエンザ・H5N1のヒト感染例は、WHOの4月21日時点のまとめで、エジプトで19例、ベトナムで7例、インドネシアで1例となり、計27例となった。世界全体では、昨年の73例の半数に迫っている。

 ヒト感染例の全体的な動向は、2006年の115例をピークに、2007年は88例、2008年は44例と鎮静化の傾向を強めていた。ただし、2009年は73例と再び増加した(図1)。

図1 鳥インフルエンザ・H5N1のヒト感染例(確定)と致死率の推移(左軸;確定患者数、右軸;致死率、WHOのまとめから作成)

 致死率の動向をみると、エジプトでは、2009年に確認された39例中死亡例は4例となり、致死率は10.3%まで低下した。ただ、2010年は4月21日時点で19例中7例が死亡し、致死率は36.8%まで増加している。

 全体の致死率をみると、2008年に75%まで増加したが、2009年は43.8%まで低下、2010年も4月21日時点で37.0%となり、WHOのデータでは2003年以降でもっとも低い数字となった。これは、ベトナムで死亡例が7例中2例に留まっており、致死率は28.6%と減少したことも影響している。

 鳥インフルエンザ・H5N1がヒトの間で感染しやすくなるウイルスに変化する際の1つの兆候として、「軽症例の増加」があるとされる。もちろん、医療体制が充実することが致死率低下に貢献していると思われるが、ウイルスの変化を見逃さないためにも、致死率の低下傾向については、今後とも注視し続ける必要がある。