全国の保健所長のほとんどは、学級閉鎖や学年閉鎖などに感染拡大の防止あるいは遅延の効果があったと評価していることが分かった。一方で、度重なるワクチン接種回数の変更や国からの情報伝達の仕方、あるいはメディアの報道などの面では、「適切ではなかった」などの声が強かった。

 これは、全国510保健所の保健所長を対象に行われた「保健所における新型インフルエンザへの初期以降の対応に関する調査」(研究分担者;緒方剛・茨城県筑西保健所)の中間報告で明らかになった。調査は、3月11日に電子メールでアンケート票を送付することで実施。3月末までに320件の回答があった(回答率65%)。 

 アンケートでは選択設問と自由記載の2通りからなるが、今回は選択設問の結果に着目した。

 選択設問では、流行時の医療体制、予防接種、サーベイランス、学級閉鎖、全般的な評価などから構成されていた。たとえば流行時の医療体制では、「流行時の休日夜間患者に対する管内の外来診療体制」や「流行時の重症患者に対する管内の入院医療体制」を挙げ、それぞれ「十分に対応できた」「どちらかというと対応できた」「どちらかというと対応できなかった」「対応できなかった」などの4段階で評価してもらっている。

 アンケートでは各設問ごとに選択肢の表現が異なっているが、ここでは分かりやすくするため、すべての選択肢を「支持する」「どちらかというと支持する」「どちらかというと支持しない」「支持しない」に読み替えた。

 また結果については、「支持する」を2点、「どちらかというと支持する」を1点、さらに「どちらかというと支持しない」は0点、「支持しない」は−1点とし、重み付けした指数を求め評価とした(図1)。

図1 学級閉鎖や学年閉鎖などに感染拡大の防止あるいは遅延効果があった(保健所における新型インフルエンザへの初期以降の対応に関する調査の結果から)

 その結果、もっとも指数が高かったのは、「学級閉鎖、学年閉鎖などは感染拡大の防止や遅延に効果があった」だった。これに、「流行時の重症患者に対する管内の入院医療体制は十分だった」「流行時の休日夜間患者に対する管内の外来診療体制は十分だった」が続いた。学級閉鎖、学年閉鎖については、唯一「支持する」が「どちらかというと支持する」を上回っており、高い評価であることがうかがえた。

 「わが国の新型インフルエンザ対策は全般的にうまくいった」については、「支持する」が5.3%、「どちらかというと支持する」が66.3%、「どちらかというと支持しない」が24.1%、「支持しない」が4.4%だった。消極的な支持が大半であり、課題もあったと認識している人が多かったと言えそうだ。

 一方、評価が低かったのは、「国の対策に関する情報の一部について、マスコミへの提供、保健所への伝達、ウエブ公開などの間に時間差があったのは適切だった」で、「支持する」が0.9%、「どちらかというと支持する」が22.0%、「どちらかというと支持しない」が44.0%、「支持しない」が33.0%だった。指数は−9.2となった。

 また、「メディアの報道は全般的に見て適切だった」の評価も低く、「接種回数の変更が繰り返されたことは適切だった」も同様に評価が低かった。 

■参考文献
・「保健所における新型インフルエンザへの初期以降の対応に関する調査結果 中間報告(保健所長用調査分) 研究分担者 緒方 剛 (茨城県筑西保健所)」(全国保健所長会のホームページのこちら