「忘れちゃダメ! 鳥インフルエンザH5N1は昨年より元気に暴れまわっているんだよ!!」と世間一般に注意をうながす動きが相次いでいる。カナダ政府は海外旅行者に向けて警告を出し1)、米紙もしっかり報じている2)。国連関連のタスクフォースも関心を持つよう訴えている3)WHOも注意喚起を行った4)

 実際のところ、今年のH5N1はえらく威勢が良い。ベトナムでは執筆時点で5例のヒト感染が発生して、はや昨年1年分の感染者数に達してしまった。そしてうち2人は帰らぬ人となった。エジプトでは累積107例目の報告があったばかりだ。この国の今年に入ってからのヒト感染者数はすでに17例で、過去最多だった昨年(1年間で39例)のペースをかなり上回っている。

 鳥類の感染も過去6カ月間、家禽に発生し殺処分だ何だと大騒ぎになったのが、バングラデッシュ、カンボジア、ルーマニア、イスラエル、ミャンマー、ネパール、エジプト、インドネシア、インド、ベトナム、ブータンと相次いでいる。また、野鳥に見つかったのは、中国、モンゴル、ロシアだった。

 ネパールでは、殺処分チームが書類不備で活動できず、何もせずに引き返してきた(!)とか、農家への補償の予算メドが立たないといった驚愕の報道まである5)(その後事態は改善に向かったようだが)。

 他方、豚由来H1N1によるパンデミックが昨年発生して以来、世間の意識からH5N1のカゲが薄らいでいる。「H1N1が新型インフルエンザになったから(H5N1の方は)無罪放免だ」と思い込む人もいれば、ただ何となく忘れてしまった人々もいる。

 しかし現状は、一部の専門家やウォッチャーだけがひっそりと知っていれば良いというレベルではなくなってきていて、広く市民に認識してもらわねばならないのだ。お互いリマインドしながら、みんなでしっかりウォッチしてゆきたい。


■ 参考情報
1) Worldwide Travel Notice For Avian Influenza H5N1 Bird Flu
2) Rising H5N1 Bird Flu Cases, a Cause of Concern All Over the World
3) H5N1へ世間の関心低下を警告!(タスクフォース)
4) Avian influenza still a threat, says WHO
5) Bird flu spreading fast in Parasi

近畿医療福祉大学の勝田吉彰氏


 過去のパンデミック時と今回の大きな違いの1つは、インターネットによる情報提供が力を発揮していることだろう。2003年のSARSの流行時に、北京で日本大使館医務官だった勝田吉彰氏(近畿医療福祉大学、写真)は、「ちぎっては投げ方式でこまめに情報提供をすることで、現地の日本人社会の不安を和らげた」と振り返る。新型インフルエンザが騒がれるようになってからは、このときの経験を元にブログ「新型インフルエンザ・ウォッチング日記」を立ち上げ、日々情報を発信し続けている。最近はツイッター(http://twitter.com/tabibito12)でも情報発信に取り組んでいる。勝田氏に「今、忘れてはならないこと」を綴っていただく(三和 護=日経メディカル別冊)。