図1 鳥インフルエンザ・H5N1のヒト感染例(確定)と致死率の推移(左軸;確定患者数、右軸;致死率、WHOのまとめから作成)

 2010年に入って確認された鳥インフルエンザH5N1のヒト感染例は、WHOの3月4日時点のまとめでは、エジプトで14例、ベトナムで3例、インドネシアで1例となり、計18例となった。世界全体では、昨年の73例の4分の1に留まっている。ただ、エジプトでは死亡例が3例と少なく、全体でも致死率は27.8%にまで低下しており、予断を許さない状況は続いている(図1)。

 ヒト感染例の全体的な動向は、2006年の115例をピークに、2007年は88例、2008年は44例と鎮静化の傾向を強めていた。ただし、2009年は73例と再び増加した。

 気になる致死率の動向は、エジプトでは、2009年に確認された39例中死亡例は4例となり、致死率は10.3%まで低下した。ただ、2010年は3月4日時点で14例中3例が死亡し、致死率は21.4%まで増加している。

 全体の致死率をみると、2008年に75%まで増加したが、2009年は43.8%まで低下、2010年も3月4日時点で27.8%となり、WHOのデータでは2003年以降でもっとも低い数字となった。

 鳥インフルエンザ・H5N1がヒトの間で感染しやすくなるウイルスに変化する際の1つの兆候として、「軽症例の増加」があるとされる。ウイルスの変化を見逃さないためにも、致死率の低下傾向については、今後とも注視し続ける必要がある。