9歳以下・60歳以上、基礎疾患あり、発症から診断まで6日以上――。これらは新型インフルエンザ重症例の特徴の一端だ。東京慈恵会医科大学感染制御部の解析で明らかになった。同院の吉川晃司氏らが2月に開催された日本環境感染症学会で報告した。

 吉川氏らは、2009年5月から12月に慈恵医大で診療した新型インフルエンザの患者954人を対象に、臨床的な特徴をレトロスペクティブに検討した。

 954例のうち確定例(PCR陽性)は27例(2.8%)、擬似症例(迅速診断キットA型陽性)は644例(67.5%)、擬似症例(臨床判断)は283例(29.7%)だった。

 年齢別で見ると、0-9歳(35.7%)が最も多く、10-19歳(31.0%)が続いた。20-29歳が17.7%、30-39歳が7.7%、40-49歳が4.3%、50-59歳が2.2%、60-69歳が0.9%、70歳以上が0.4%だった。平均値は17.1±13.6歳、中央値は13歳だった。

 基礎疾患は255例(26.7%)にあり、慢性呼吸器疾患が169例、小児科慢性疾患が55例、免疫抑制状態が13例などだった(重複あり)。

 発症から診断までの日数は、0〜2日が94.2%で、平均値は0.92±0.89日、中央値が1日だった(n=939)。

 重症度は日本感染症学会の基準をもとに判断したが、重症(A1群)が30例(3.1%)、中等症(A2群)が14例(1.5%)、軽症(B群)が910例(95.4%)だった。大半が軽症であった点は、これまでの報告と異なるものではなかった。なお、合併症については、肺炎が22例にあり、うち3例がICU管理、1例が人工呼吸器装着の例だった。そのほか、気管支喘息増悪9例、喘息以外の基礎疾患増悪7例などだった。

 軽症・中等症例と重症例を比較したところ、年齢では0-9歳と60歳以上が重症例で有意に多かった。軽症・中等症例は0-9歳が34.8%、60歳以上が1.0%だったのに対し、重症例はそれぞれ63.3%、13.3%だった(それぞれp=0.0014、p=0.0005)。

 基礎疾患の有無では、軽症・中等症例が「あり」が25.0%に対し、重症例では「あり」が80.0%で、有意に多かった(p<0.0001)。

 発症から診断までの日数の比較では、6日以上で違いが見られた。軽症・中等症例では6日以上が0.3%だったが、重症例では6.9%で有意に多いという結果だった(p=00087)。

 これらの結果から吉川氏らは、全体的には新型インフルエンザ症例の94%が発症後2日以内に診断・治療が開始されていた点に着目し、全例が軽快し死亡例はなかったことから、「早期診断・早期治療が功を奏した結果」と結論した。

 また重症例については、9歳以下・60歳以上、基礎疾患あり、発症から診断まで6日以上の特徴が明らかになった。インフルエンザ様症状が見られる患者でこうした特徴がある場合は、インフルエンザを積極的に疑い、早期の抗インフルエンザ薬による治療が必要と指摘している。

 なお、同院では医療従事者に対して抗インフルエンザ薬の予防投与(タミフル53例、リレンザ314例、不明2例)に取り組んできたが、これまでの発症例は1例(0.3%)に留まっているという。まん延期となった今後は、一律投与ではなく重症化を考慮した予防投与に取り組む方針だ。