日本の新型インフルエンザの死亡例のうち、72%もの人が「基礎疾患あり」であることが明らかになった。重症化リスクの高い基礎疾患を持つ人への対策の重要性が、改めて示された格好だ。

 1月25日時点で、新型インフルエンザ対策推進本部事務局が公開している176人を対象に調査したところ、「基礎疾患あり」が127人、「なし」が45人、「調査中など」は4人だった。

 年代別にみると、50代が29人ともっとも多く、40代と1歳から10歳未満がそれぞれ27人で続いた(図1)。特徴的なのは、高齢の年代に「基礎疾患あり」の人が目立つ点だ。一方、10歳未満では逆に「基礎疾患なし」が多くなっている。

図1 新型インフルエンザの死亡例(年代別、基礎疾患の有無別)

 東京大学医科学研究所の河岡義裕氏らの解析によると、死亡の原因は、15歳から65歳では、肺炎が半数近くで、これに多臓器不全、心疾患が続いている。65歳以上の場合は、やはり肺炎がほぼ半数で、多臓器不全、心疾患が続くが、その他不明が4分の1以上あるのが特徴の1つだった。一方、小児(15歳未満)については、心疾患と脳症が拮抗しており、肺炎、多臓器不全が続いている。

 脳症については、急性脳症の届出が2010年1月19日時点で25件報告されている。このうち、10歳未満が12件と突出しており、10代と30代、60代がそれぞれ1件となっている。特に小児においては、急性脳症への警戒が必要となっている。

 これまでの死亡者数の推移をみると、2009年8月に8件、9月に11件、10月に21件と増加、11月に42件、12月には51件に達した。2010年に入ってからは、1月25日現在で43件となっている(図2)。

図2 新型インフルエンザの死亡例の推移

 なお、最近の死亡例のうち8例においてはワクチン接種歴についても報告されているが、6例で「新型インフルエンザワクチンの接種歴なし」となっている。「あり」は1例、「不明」も1例だった。


■参考資料
・新型インフルエンザワクチンの接種について(厚生労働省)
 妊娠されている方へ
 基礎疾患を有する方へ
 「新型インフルエンザワクチンの優先接種の対象とする基礎疾患の基準」手引き
新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中の人や授乳中の人へ(厚生労働省)
新型インフルエンザ対策(A/H1N1)がんで治療中の人へ(厚生労働省)
糖尿病のある方の新型インフルエンザ対策(患者・一般向け、医療関係者向け。国立国際医療センター)
透析者のための新型インフルエンザ対策(日本透析医会)