感染パーティー。新型インフルエンザに感染していると思われる人を入れて、飲めや騒げやの大騒ぎをしながら飛沫を浴びる。大部分が軽症で終わる今のうちにうまく感染して、タダで免疫をつけてしまおう、という発想だ。子供たちバージョンもあるらしい。

 それは間違いです。やってはいけません。絶対ダメです。海外報道を見ても、繰り返し繰り返し呼びかけられている。日本でも、専門家が否定的見解を出している。そんなことを考える人々が本当にいるのだろうか。当サイト読者の皆さんは首をかしげると思う。

 いるのである。あるメーリングリストでは、ご近所の井戸端会議で本当に感染パーティーをやる算段が語られていて衝撃、にわか新型インフル講座をやって止めさせたという実体験が述べられたりしている。筆者のサイトにも質問をいただいた(もちろん、お勧めしませんと回答した)。

 あなたの周囲でそういう声を聞いたら、やめさせてほしい。その理由は、(1)子供や青年層では基礎疾患がなくても重症化するケースがある。あの世に旅立ってしまい新聞ダネになる例だけが“重症化”ではない。気管内挿管され一言も声を発せず、人工呼吸器につながれトイレにも行けないという目に遭うケースはまだまだあるのですよ、と伝えてあげよう。また(2)高齢者は、それだけ長く生きている。大切に乗った車でも10年走ると故障する部品が出てくるし、それがエンストするまで目に見えないことも多々ある。痛いわけでも痒いわけでもなく意識されていない基礎疾患ゆえ、取り返しのつかないことになるかもしれません、と教えてあげよう。

 なお、意図的な“感染パーティー”じゃなくても、1月は何かと行事の多い月だ。医療施設でも福祉施設でも企業でも、“お餅つき”や“新年会”や“成人パーティー”の体制にはよく注意喚起しておこう。手洗い・咳エチケットはもとより、大皿にスナックを盛って、不特定多数が手を突っ込むというシチュエーションがないよう食べ物を小皿で出すといった配慮が必要なのだ。

図1 勝田氏が発信している「新型インフルエンザ・ウォッチング日記」の画面。


 過去のパンデミック時と今回の大きな違いの1つは、インターネットによる情報提供が力を発揮していることだろう。2003年のSARSの流行時に、北京で日本大使館医務官だった勝田吉彰氏(近畿医療福祉大学)は、「ちぎっては投げ方式でこまめに情報提供をすることで、現地の日本人社会の不安を和らげた」と振り返る。新型インフルエンザが騒がれるようになってからは、このときの経験を元にブログを立ち上げ、日々情報を発信し続けている。勝田氏に「今、忘れてはならないこと」を綴っていただく(「パンデミックに挑む」編集)。