原土井病院臨床研究部部長の池松秀之氏

 新型インフルエンザに対する迅速診断キットの診断能は、感度が90.7%と高水準であることが分かった。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の中間報告で明らかになった。取りまとめに当たった原土井病院臨床研究部部長の池松秀之氏(写真)は、「季節性インフルエンザに対する成績とほとんど変わらない。発症から検体採取までの期間、検体採取部位、年齢など、検査結果に影響を与える要因を今一度見直すべきだ」と指摘している。

 中間報告は、2009年9月から11月に実施された迅速診断キットの診断能を明らかにしたもの。この間に136件の検体が集積した。このうち迅速診断キットで陽性だったのは111件、陰性だったのは25件だった。

 全検体をPCRで解析したところ、新型インフルエンザ陽性は118件、陰性は18件となった。迅速診断キットとPCRの結果を比較すると、PCR陽性118件中、キット陽性は107件となり、感度は90.7%となった(表1)。

表1 新型インフルエンザの対する迅速診断キットの診断能(中間報告、日本臨床内科医会)

 この結果は、季節性インフルエンザに対する成績とほとんど変わらないものだった。これまで、新型インフルエンザに対しては「迅速診断キットの感度はそれほど高くない」などという報告が相次いでいた。

 たとえば、米国からは、新型インフルエンザに対する感度は40〜69%という結果が報告されている*1)。また、国内からは、2009年5月の神戸・大阪での調査では、53.5〜77%と報告されている*2,3)。

 これに対して、日本臨床内科医会の結果は感度90%と高水準だったわけだが、感度の違いについて池松氏は、「流行時期の違いによる影響があるのかもしれない」とみている。その上で、検査結果に影響を与える要因、たとえば発症から検体採取までの期間、検体採取部位、年齢、メーカーによる違いなどを、「今一度、見直してみるべき」と話している。

 なお、発症から検体採取までの期間については、池松氏によると、小児を中心としたPCR陽性例での検討から表2のような結果が出ている。新型インフルエンザの確認例を対象に、発症から検体採取までの時間ごとに診断キットの感度を検討したものだが、発症から12時間未満で70.6%、12〜18時間未満で75.9%、18〜24時間未満では95.5%となっていた。池松氏は、「発症から検体採取までの時間が短いほど、感度が落ちると思われていたが、こちらも季節性インフルエンザの成績とほとんど変わらないものだった」と指摘している。

表2 発症から検体採取までの時間ごとにみた診断キットの感度(池松氏による)

■参考文献
1)Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Evaluation of Rapid Influenza Diagnostic Tests for Detection of Novel Influenza A (H1N1) Virus --- United States, 2009. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2009;58(30):826-829
2)国立感染症研究所感染症情報センター:2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)
3)国立感染症研究所感染症情報センター:大阪における新型インフルエンザの臨床像 (第二報)