国内のタミフル耐性を示す新型インフルエンザウイルスの検出は、10月までに12例となった。予防投与例が半数の6例に上っている。いずれも単発例であり、周囲への感染拡大は認められていない。また、多くはリレンザに感受性があることが確認されている。

 これまで国内で報告のあったタミフル耐性事例では、すべてに耐性マーカーH275Yが検出されている(表1)。特徴の1つは、予防投与の事例でタミフル耐性が目立つ点で、12例中6例が予防投与例だった。また、10月7日発表の札幌市の事例以外は、すべてタミフルが処方されている。いまのことろ、いずれも単発例に留まっており、患者の周囲への感染拡大は認められていない。

 札幌市の事例はタミフルの投与がなく、ほかの患者からタミフル耐性ウイルスが感染した可能性も指摘されている。ただし、札幌市の発表では、この患者の家族に発症者は認めておらず、周辺地域ではタミフル内服後に症状が改善しなかった事例や患者数の異常な増加あるいは集積が確認されなかったことから、家族を含めた周囲への感染拡大は認めなかったとしている。

 札幌市衛生研究所では、検査定点医療機関からのサーベイランスとして採取された126株(8月9日〜10月1日)と、保健所より確認検査などのために依頼のあった91株(6月11日〜9月28日)の計217株について検査したことろ、タミフル耐性マーカーH275Yが検出されたのは、この事例のみだった。

 なお、耐性マーカーH275Yが確認されたウイルスは、タミフルに対して抵抗性があり、薬が効きにくくなることを示している。

表1 タミフル耐性を示す遺伝子変異が確認された新型インフルエンザウイルスの事例

発表日症例経緯その他
10月28日/横浜市6歳男児ぜんそく9月23日に症状が現れ近医を受診。タミフル処方され自宅療養に。9月28日別の近医を受診。軽度の肺炎疑いで市内の病院に入院。9月29日新型を確認。10月1日症状が回復し退院。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
10月23日/名古屋市20代女性8月19日に確認された新型インフルエンザ患者(重症肺炎で死亡)が入院していた医療機関の看護師。タミフル予防投与したが8月23日に発症。8月26日に新型を確認。リレンザ服用し自宅療養にて回復。死亡例からは検出されず。耐性マーカーH275Y
10月23日/名古屋市8歳女児8月16日に発症。翌17日に医療機関を受診しタミフル服用。嘔吐・脱水があり8月20日に入院。21日に新型を確認。症状回復し24日に退院。耐性マーカーH275Y
10月19日/滋賀県24歳女性新型インフルエンザ感染者の看護に当たっていた。9月25日にタミフル予防投与。10月1日に発熱。リレンザに変更。2日に新型確定。治癒。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
10月7日/札幌市10代女性8月20日に咳症状。22日に38℃の発熱で医療機関を受診。リレンザ服用し翌日には解熱。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
9月11日/さいたま市5歳未満男児8月21日午後に発熱し近医を受診。タミフル処方され自宅療養に。24日に咳は持続も解熱。26日に微熱が現れる。27日に38℃台の発熱と呼吸苦で近医を再受診。紹介先の医療機関で肺炎を認めその後別の医療機関に入院。タミフルによる治療を実施。28日に解熱し9月1日に退院。耐性マーカーH275Y
9月9日/千葉県20代女性発熱、咽頭痛、咳の症状が現れ近医を受診。タミフル投与されるも症状が軽快せず他の医療機関で入院。ウイルス陰性確認後に退院となる。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
8月29日/滋賀県5歳男児発熱、咳の症状が現れ近医を受診。タミフル投与。内服後も症状が軽快せず、他の医療機関に入院し、現在は治癒。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
7月30日/岩手県岩手県在住タミフル予防投与中に発症。症状が悪化することなく治癒。耐性マーカーH275Y
7月28日/徳島県30代男性タミフル予防投与中に発症。治療用に増量後は速やかに解熱し治癒。耐性マーカーH275Y
7月17日/山口県山口県在住タミフル予防投与中に発症。治癒。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性
7月2日/大阪府大阪府在住5月15日に発症し17日に新型インフルエンザが確定した患者の濃厚接触者。18日からタミフル予防投与。24日から微熱があり、28日に発熱相談センターに連絡。29日に新型と診断。同日からリレンザによる治療を受け回復。耐性マーカーH275Y/リレンザに感受性