東京都が先月実施したアンケート調査によると、ワクチンに関する気がかりな点として、42%もの人が「ワクチンを接種しても新型インフルエンザにかかるのではないか」を挙げていた。厚生労働省をはじめ専門家らは繰り返し、ワクチンの効果は100%ではないことも説明してきた。が、まだ不十分なようだ。

 ワクチンの効果については、季節性インフルエンザの場合について、以下のような効果が示されている。

 まず、健常者のインフルエンザの発病割合を70〜90%減少させる効果がある。たとえば、ワクチン接種者100人とワクチン非接種者100人を比べたとき、ワクチン非接種者100人のうち5人が発病したとすると、ワクチンを打った100人では0.5人から1.5人に発病者を抑えることが期待できるわけだ。ただし、「100%減少させるわけではない」ことには留意すべきだ。「ワクチンを打ちさえすれば良い」というのではなく、様々な対策の一環としてワクチン接種があることを忘れてはならない。

 ではなぜワクチン接種なのか。その主目的は、重症例や死亡例の発生を限りなく抑えることにある。

 季節性インフルエンザワクチンの場合だが、高齢者では、ワクチン接種により一般高齢者の肺炎あるいはインフルエンザによる入院を30〜70%減少させる。老人施設の入所者のインフルエンザによる死亡を80%減少させるというデータもある。小児では、1〜6歳の場合で、発熱が20〜30%減少するという効果が確認されている。

 これらの出典は、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2007 vol 56,CDC。小児については、日本小児科学会の「乳幼児(6歳未満)に対するインフルエンザワクチン接種について‐日本小児科学会見解‐」(2004年10月31日)が根拠となっている。

 インフルエンザワクチンの目的は、感染防止あるいは流行阻止ではない。あくまでも重症化あるいは死亡の防止なのである。同時に、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすために、必要な医療を確保することもワクチン接種の目的になっている。医療従事者らが優先接種で上位となっているのは、このためである。