写真 入院時(2病日)胸部単純X線(気管支喘息重症発作を合併した10歳男児)

 厚生労働省の研究班が9月に、急遽、新型インフルエンザの重症事例集をまとめた。「急速に増悪する肺炎」あるいは「学童のインフルエンザ脳症」など、季節性インフルエンザでは比較的稀な病態と考えられる症例も含まれているが、「今後、全国の医療機関で少なからず経験される可能性がある」とし、臨床現場の医師らに情報共有を図り、新型インフルエンザの治療に活かすよう求めている。

 事例集をまとめたのは、平成21年度厚生労働科学特別研究「秋以降の新型インフルエンザ流行における医療体制・抗インフルエンザウイルス薬の効果などに関する研究」(主任研究者:工藤宏一郎氏)の分担研究チーム(分担研究者:防衛医科大学校の川名明彦氏)。

 研究チームの主眼は、「重症例の検証とその情報の共有」。今後、多くの臨床現場で経験されることになると考えられる重症例について診断や現病歴、既往歴や検査所見、画像所見、さらには治療経過などを詳説し、さらに取り上げた症例に対する専門家らのコメントも付け加えている。

 取り上げているのは、「気管支喘息重症発作を合併した10歳男児」「急性脳症を合併した4歳男児」「重症肺炎をきたした40代女性」など6症例(表1)。これらの症例については、急速に増悪する肺炎あるいは学童のインフルエンザ脳症など、季節性インフルエンザでは比較的稀な病態と考えられる症例も含まれているが、今後、重症例が増えていくにつれ、「全国の医療機関で少なからず経験される可能性がある」と強調し、留意するよう求めた。

表1 新型インフルエンザの重症事例集で紹介している症例

〔症例1〕 気管支喘息重症発作を合併した10歳男児
〔症例2〕 急性脳症を合併した4歳男児
〔症例3〕 急性脳症を合併した12歳女児
〔症例4〕 人工換気を要した13歳女児
〔症例5〕 ウイルス性肺炎を合併した60代男性
〔症例6〕 重症肺炎をきたした40代女性

 また、事例集を解説した報告書では、自治体から報告のあった脳症、挿管、ICU 入室及び死亡事例(厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部)などの参考資料も掲載している(関連記事)。

◆厚生労働省のリリース
国内における新型インフルエンザ症例集
◆関連記事
新型インフルエンザ対策本部専門家委員会委員長・尾身茂氏
「新型インフルエンザ対策の目標は、重篤化を避けること」