オーストラリア政府の発表によると、同国の新型インフルエンザの累計患者数は、9月6日時点で3万5474人となった。9月2日に3万5000人を超えてからも増加が続いている。ただし、新規患者数は、1日当たり2桁台の日も目立ってきており、7月末のピークを境に減少傾向を強めているようだ(図1)。

 感染者の増加に伴い入院例も増えていたが、現在入院中の人は9月6日時点で369人となり、400人を切る日が続いている(図2)。8月中旬ごろに450人前後で推移していたのに比べ、だいぶ落ち着いてきた印象だ。

 死者数は9月6日時点で累計161人となった。こちらも新規死亡件数がゼロの日が目立ってきている。

図1 オーストラリアの新型インフルエンザの現状(患者数の動向)

図2 オーストラリアの新型インフルエンザの現状(入院、死亡例の動向)

新潟大学大学院国際感染症医学講座公衆衛生学分野教授の鈴木宏氏

 新潟大学大学院国際感染症医学講座公衆衛生学分野教授の鈴木宏氏(写真)は、かねてから南半球の流行状況に注意を払うべきと指摘してきた。本格的な流行がこれから始まる北半球では、南半球での現状が参考になるからだ。

 鈴木氏によると、オーストラリアのインフルエンザ疫学情報では、季節性インフルエンザを超える流行規模ではなかった。外来患者数や救急患者数、あるいはインフルエンザ・肺炎による死亡数やインフルエンザ・肺炎による超過死亡などの指標を見る限り、例年の季節性インフルエンザの範囲内にあった。

 「これまでの季節性インフルエンザの流行規模と同程度であるという点は重要だ」と鈴木氏は指摘する。「経験したことのある流行規模」であれば、対策面でも大きなアドバンテージになりうる。もちろん、対策を考える上では、これまでの季節性インフルエンザの流行の中でも最大規模のものを想定しなければならないだろう。また、北半球でも同様の規模と短絡的に考えるのは危険に違いない。日本での流行については、引き続きサーベイランスを注視することは必須で、その情報を迅速に共有していかなければならない。