このページの本文へ


  • トップ
  • ニュース&リポート
  • トピックス
  • お知らせ
  • 協賛企業・団体から

新着一覧へ

トピックス

2009. 9. 7

【現場の対応例】偕行会グループ透析事業本部

プラズマクラスターイオン発生機も導入、先シーズンはインフルエンザ罹患患者がゼロ

「パンデミックに挑む」編集

透析の患者さんを守るには何をすべきなのか

 再び感染が拡大している新型インフルエンザ。医療現場では今、どのような対応をとろうとしているのか。ハイリスク群の中でも特に、透析のために医療機関を受診せざるを得ない患者は、他の患者に比べ感染のリスクが高いといえる。透析医療に取り組む医療法人偕行会のグループ透析事業本部長の勢納八郎氏は、患者に対する手洗い、うがい、マスク着用の咳エチケット指導に加え、透析室にプラズマクラスターイオン発生機も導入することで環境面も整備し、総体的にリスク低減を図ろうとしている。

 「先シーズンはインフルエンザ罹患患者がゼロでした」。勢納氏は、今冬に院長を務めていた桶川共立クリニック(当時)での取り組みで、透析室に導入したプラズマクラスターイオン発生機(シャープ製)の効果を確信したという。

 例年であれば、80人の患者のうち2、3人はインフルエンザに罹患するのだという。それが「ゼロ」になったのは、「プラズマクラスターイオン発生機の導入で、総体的にリスクを低減させることができたから」(勢納氏)だ。

 プラズマクラスターイオン発生機は、プラスイオンとマイナスイオンを空気中に放出し、浮遊するウイルスや細菌などを分解し除去するもの。シャープの説明によると、浮遊ウイルスに対する効能の評価では、1m3ボックスにプラズマクラスターイオンを5万個/cm3発生させ、そこにウイルスを浮遊(粒径1〜10μmの霧状にし噴霧)させたところ、浮遊ウイルスを約10分間で99.9%除去できたという。英国ロンドン大ウイルス学教授のジョン・オックスフォード氏との共同研究で実証したものだ。また、ドイツのアーヘン応用科学大教授のゲハート・アートマン氏との共同研究で、プラズマクラスターイオンが浮遊菌の表面細胞膜のタンパク質を破壊する分解メカニズムを解明している。同時に、細菌の遺伝子を損傷しないことも確認している。

 勢納氏が透析室にプラズマクラスターイオン発生機を導入した根拠の1つが、名古屋共立病院グループの研究成果だ。昨年の日本透析医学会で発表しているが、プラズマクラスターイオン発生機を導入した透析室と導入しなかった透析室で、風邪などの発生に違いがあるのかどうかを調べたものだ。

 その結果、統計学的に有意差には至らなかったものの、導入した透析室の方で風邪の発生が少ない傾向が確認できたという。

 もちろん、プラズマクラスターイオン発生機を導入しさえすれば、解決するというものではない。偕行会グループでは、透析医療において予防に注力してきた。透析に入ってからの5年後の生存率をみると、全国平均で59.7%であるのに対し、偕行会グループは83.1%と最高レベルを誇っている。この成果は、同グループが「予防」に重点を置いた治療を心がけてきた証なのだ。

 感染のリスクを可能な限り低くすることも、「予防」の重要なテーマとなる。たとえば、勢納氏が院長を務めていた桶川共立クリニック(当時)では、患者に対する手洗い、うがい、マスク着用のいわゆる「咳エチケット」の指導を徹底した。加えて、透析室の湿度は60%以下にならないようにし、室温も25℃ほどに抑えるなど、環境面での工夫もした。「湿度や室温については、患者さんの自宅でも心がけるよう指導した」(勢納氏)ほどだ。

 こうした指導の上に、プラズマクラスターイオン発生機の設置があったわけで、総体的にリスク低減を図るための一手段として導入したわけだ。

 今年は新型インフルエンザが発生し、ハイリスク群に属する透析患者に対する対策は焦眉の急となっている。プラズマクラスターイオン発生機導入などで、総体的にリスク低減を図った結果、先シーズンのインフルエンザ罹患患者をゼロに抑えられた勢納氏らの取り組みは、一考に価するのではないだろうか。


アクセスランキングmore

  1. 佐賀大病院で外科医に「インセンティブ手当」
  2. 失敗しない「手荒れ」の診察(その1)
  3. 東大・慶應の医学生ってこんな人たち
  4. 卒後10年の先輩に聞きました
  5. 移植外科フェローに、やる気がない人も応募してくる理由
  6. 卒後20年の先輩に聞きました
  7. 主訴:3日前からの悪寒・発熱・黄色痰(正答率:67%)
  8. 目指す医師像は?なぜその大学に?
  9. 診断学の良書 その1〜アナログ診断編〜
  10. イグザレルト:脳卒中予防に使える第3の経口抗凝固薬