季節性インフルエンザにおいて、2008/2009シーズンタミフル耐性Aソ連型の流行が特徴だった。分離されたウイルスにタミフル耐性を示すH275Yという耐性マーカーが確認されたわけだが、臨床現場では、タミフルが効きにくいという声が挙がる一方、効いている症例もあるとの指摘もあった。タミフル耐性ウイルスに罹患した患者では、タミフル治療の効果は期待できるのか――。この問いに対し、新潟大学大学院医歯学総合研究科斎藤玲子氏らは、熱型推移に着目した検討を行い、タミフル治療群と無治療群では熱型推移が同様だったことを明らかにした。

 調査期間は2008年12月から2009年4月までで、北海道、群馬、新潟、京都、兵庫、鳥取、長崎の18医療機関(内科、小児科)が協力した。

 検体は、インフルエンザ様疾患患者から採取した咽頭拭い液、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、鼻水検体。熱型は、保護者が患児(15歳以下)の体温を1日3回計測した。

 その結果、対象とした15歳以下の患児では、タミフル治療群では無治療群と同様の熱型推移を示した(図1)。リレンザ治療群との比較もしているが、治療4日目において、リレンザ群ではほとんどすべての症例で37.5℃以下に下がっていたのに対し、タミフル治療群、無治療群とも37.5℃以上の症例がかなりの数に上っていた。

図1 タミフル耐性に対するタミフル治療群、リレンザ治療群、無治療群の熱型推移(第83回日本感染症学会で新潟大学の鈴木康司氏らが発表)

 1日の最高体温の推移で見た場合でも、タミフル治療群では無治療群と同様の熱型推移を示していた(図2)。これに対し、リレンザ治療群では、治療3日目、4日目、5日目に、無治療群より有意に熱が低くなっていた。

図2 1日の最高体温の推移の比較(新潟大学大学院医歯学総合研究科の斎藤玲子氏ら)

 また、治療開始から37.5℃以下になるまでの時間を調べたところ、タミフル治療群では2.5±1.5日で、無治療群の2.5±1.4日とほとんど変わらなかった。これに対し、タミフル感受性株が主流だった2006−2008の2シーズンでは、タミフル治療群が1.9±0.9日、無治療群が2.7±1.6日で有意にタミフル治療群が短かった(p<0.01)。

 斎藤氏は「タミフル無効例は年齢が低いほど多く見られた。一方、年長児では耐性であってもタミフル治療の効果があると思われる例があった。必ずしもすべての年齢で無効ではないのだが、詳細については今後も検討を続けていく」と話している。

 これらの結果は、タミフル耐性に対しては、年齢が低い患児ほどタミフル治療の効果を期待できないことを示している。次期の季節性インフルエンザのシーズンにタミフル耐性Aソ連型の流行が確認された場合は、治療方針の見直しが必要になるだろう。