仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏

 仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一氏(写真)は5月18日までに、今後も「より病原性の高いH5N1の動向は、引き続き注視し続ける必要がある」と警告した。「パンデミックに挑む」編集の取材に答えた。

 西村氏は「H5N1が最大の関心事だったときに、散発的にだが、豚インフルエンザのヒト感染例が報告されており、豚インフルエンザからの新型発生の危険性も指摘されていた」とし、「結局、今回の新型インフルエンザは豚インフルエンザを起点に発生した」と振り返った。その上で、「現状もこれと同じことが言えると思う。現在は新型インフルエンザの対策に全力で取り組んでいるわけだが、より病原性の高いH5N1の動向は、引き続き注視し続ける必要がある」と指摘した。

 確かに、H5N1鳥インフルエンザのヒト感染例は、5月に入ってからも散発的に続いている。

 エジプト保健省によると、5月13日に4歳半の男児が感染していることを確認した。5月に入って2例目、今年に入って20例目となった。一方、ベトナムでも5月6日に、今年に入ってから4例目となる感染例が確認されている。

 エジプト保健省は5月13日、新たなヒト感染例が確認されたと発表した。患者はKafr Saqr地区の4歳半の男児。5月10日に症状が現れ、翌11日にZagazig熱病院に入院した。その後、Manshiet al-Bakri病院に転院、現在は症状は安定しているという。エジプトでは今年に入ってから、これで20例となった。なお、死亡は3例に留まっている。

 エジプトではWHOおよびエジプト保健省の発表では、1月に2人、2月に2人だったが、3月に5人に、4月には8例と増加した。5月に入ってからは、これまでに3例の報告となった。

 昨年は8例だったが、現時点ですでに倍以上の20例に達した。特徴的なのは、大半が1歳から2 歳ぐらいの乳幼児である点。また、成人例も3例出ているが、いずれも女性となっている。 

 一方、ベトナムでは、5月6日に新たな感染者が確認された。患者はQuan Hoa地区の23歳女性で、4月16日に症状が現れ、21日に入院したが翌22日に死亡した。

 ベトナムでは今年に入ってから4例目の確認例となった。いずれも死亡している。

 現状は、新型インフルエンザA/H1N1の感染による被害を最小限とする対策に集中せざるを得ないわけだが、西村氏の警告通り、引き続きH5N1襲来の監視は怠ってはならないだろう。