大阪府は5月17日、厚生労働省との協議の上、大阪府では新型インフルエンザ患者の入院については「医学的に重症度が高い場合のみ」とすることを決めた。府内では地域での感染拡大が認められており、封じ込めが目的である措置入院は、すでに実態に合わないと判断した。

 大阪府としてはまず、今回の新型インフルエンザウイルスが季節性インフルエンザに比べ、感染力は上回るものの毒性は弱いとの認識に立った上で対策を検討してきた。同時に、府内の感染の実態を調査した結果、すでに地域での感染拡大が進んだ状態との判断にいたった。また、軽症例がほとんどであるにもかかわらず、すべて入院措置の対象とした場合、重症化の危険性が高い基礎疾患のある人の入院治療に支障をきたす事態も懸念された。

 このため、この時点で入院は「医学的に重症度が高い場合のみ」に限定することとし、以下の5項目の実施を決定した。

 (1)入院先は、引き続き感染症指定機関などとする、(2)入院が必要な症例が確認された場合は、引き続き大阪府地域保健感染症課が入院先の調整を行う、(3)退院については、医学的に必要性を考慮して担当医師が判断する、(4)診療は保険診療とする、(5)入院勧告は実施しない。

 一方の入院の対象とならない軽症者については、(1)外出の自粛を厳しく依頼する、(2)発熱外来などにおいてタミフルまたはリレンザの処方を受ける、(3)保健所は、患者の健康観察を7日間、または症状がなくなるまでの期間のいずれか長い日まで継続する、(4)同居の家族への予防内服の考え方は表1の通りとする。

表1 同居家族に対する予防内服に関する大阪府の基本的方針

・20歳以上の同居家族らについては、原則として保健所が保有するタミフルを無償で提供することとし、発熱外来などにおける自費診療も可能とする(なお、保健所が保有するタミフルが不足する場合は、府が備蓄するタミフルを供給することが可能なので、地域保健感染症グループまで連絡する)。
・13〜19歳の同居家族については、本人および保護者の希望があり、かつその副作用について理解されており、かつ保護者による患者の監視が可能である場合に限り、保健所が保有するタミフルを投与する。(詳細については添付文書を確認する。)なお、リレンザによる予防内服を希望する場合には、発熱外来などにおいて自費診療による処方を行う。
・13歳未満の同居家族らについては、予防内服を希望する場合には、発熱外来などにおいてリレンザを自費診療で処方する。
(注)5月17日19時現在、国備蓄の予防内服用リレンザを準備中であるため、今後リレンザを無償提供できるよになる可能性あり。

 国の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会は、5月16日現在でまとめた「基本的対処方針」で、国内発生早期の段階では、感染例は軽症・重症を問わず措置入院とし、感染拡大を防ぐことを提示していた。

 また、感染の拡大が進んだ段階においては、多くの軽症の感染者が発生し、医療機関に殺到する可能性があるとし、重症化の危険性が高い基礎疾患のある人の入院治療に支障をきたす事態を招かないよう医療供給体制の充実と各医療機関の機能の明確化を図るよう求めていた。同時に、軽症者には、自宅での療養、医療従事者の訪問あるいは発熱外来への受診の徹底など、地域の実情に応じた対応をすべきとしていた。

 なお、政府の行動計画に照らすと、大阪府は第3段階に入ったことを意味する。第3段階は、感染拡大期、まん延期、回復期と定められているが、今回の決定は「まん延期を宣言したものではない」(大阪府)としている。