WHOメディカルオフィサーの進藤奈邦子氏(2008年インタビューから)

 世界保健機関WHO)で新型インフルエンザ対策の技術部門を統括するメディカルオフィサーの進藤奈邦子氏は11日までに、治療薬の中心である抗インフルエンザ薬タミフルに対し「耐性を持つ新型インフルエンザウイルスができてしまう可能性がある」と指摘し、タミフルが効きにくくなる耐性ウイルスの発生に強い懸念を表明した。

 ワクチン開発が完了していない現時点では、新型インフルエンザの薬物療法は抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)に頼らざるを得ない。タミフル耐性ウイルスが発生すれば、一般的にインフルエンザに対する抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、エイズ、糖尿病などの患者が大きな危険にさらされる危険性が高い。このため、WHOや各国政府は根本的な治療体制の見直しを迫られることになる。

 2007年から2008年の冬に北米で流行した季節性インフルエンザウイルス(A/H1N1)の一部が、さらに2008年から2009年にはほとんど全ての流行株がタミフルに強い耐性を持つようになった。「タミフルを通常の400倍も投与しないと効かない」とされるレベルで、「事実上、治療に使えない」(進藤氏)という。北米や中南米では、季節性インフルエンザウイルス(A/H1N1)のほとんどがタミフルに対する耐性を持っていることが分かっている(関連トピックス)。

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