大阪府府医師会は5月8日、新型インフルエンザ・A/H1N1の診療方針をまとめた「新型インフルエンザ診療マニュアル」を公表した。4月28日に開催した「大阪府新型インフルエンザ対策協議会」で検討したものを4月29日に第1版としてまとめた。5月8日のマニュアルは第2版で、この間の知見を踏まえて、内容を拡充した。大阪府は、「あくまでも暫定的なもの。診療現場での混乱を最小限とすることを目標に作成した。今後、新たな知見が明らかになれば適宜更新していく」と話している。

 マニュアルは、疫学、感染経路、臨床的特徴、症例定義、診察、治療、予防投与など、各項目ごとに指針を示している。

医療者の感染を防ぐには

 たとえば、感染予防では、「通常の接触感染、飛沫感染対策を実施する」とし、「患者への接触については、念のためN95マスクを使用する」と明示している。

 また、(1)疑いのある患者については、その他の患者とは別室に入れ、部屋から移動する際にはサージカルマスクの装着を指示する、(2)有症状者に対しては、「咳エチケット」等についての保健指導を行う(例:咳やくしゃみをするときは袖で覆う。使用したティッシュは注意してゴミ箱に捨てる。手を頻回に洗う)、(3)患者に使用した食器や消毒機器については、石けんでの洗浄で再使用可能である、(4)環境管理については、通常のインフルエンザシーズンにおける通常の清掃、消毒(70v/v%イソプロパノールもしくは消毒用エタノール)で対応が可能である、(5)感染防御具等の使用については、現時点では新型インフルエンザの情報が不足していることから、当面厳しい基準に従う。すなわち、診療にあたっては、ガウン、未滅菌の手袋、フェイスシールドとともに、N95マスク(サージカルマスクではない)を装着することとし、追加情報が入り次第、可能な範囲で簡素化する。特に、フェイスシールドやゴーグルは目からの感染が不明であるため装着することが望ましい−−などを提示している。

 N95マスクが望ましい場合としては、確定例や疑い例に対して直接的なケアを行うとき、気管支鏡検査などエアロゾルが発生する手技を行うとき、蘇生術を行うとき−−を例示している。

 その他、院内での感染を防ぐためとして、新型インフルエンザ患者のケアにあたるスタッフとそれ以外を分けること、新型インフルエンザ患者の導線を一般の外来とは別にすること、新型インフルエンザ患者専用の病棟を設定すること、などの工夫も示した。

 陰圧室の利用については、「新型インフルエンザ患者には必ずしも使用する必要はない」とし、「可能であれば、エアロゾルを産生するような手技を行う際には利用する」とした。このほか、「検体を採取するスタッフは、必ず、N95マスク、未滅菌の手袋、ガウン、フェイスシールドを装着すること」「診療にあたったスタッフについては、上記の基準に合致する防御をとらなかった場合には、予防内服の実施を検討する」「職員の健康状態については、毎日確認し、発熱性疾患に罹患している恐れがある場合は休職とすること。その期間は、7日間または症状消失時までの長い方とする」なども列挙している。

 以下に全文を紹介する。

「新型インフルエンザ診療マニュアル」

第1版 平成21年4月29日
第2版 平成21年5月8日
 大阪府健康医療部
 大阪府医師会

 このマニュアルは、今回発生した新型インフルエンザ(H1N1)の診療方針について、府内の医療機関における診療に資することを目的として、平成21年5月9日現在の、WHO(世界保健機関)、CDC(米国疾病対策センター)、厚生労働省、国立感染症研究所等が提供している情報をもとに暫定的にとりまとめたものである。
 現時点では、ウイルスの特性を踏まえた完全なマニュアルを作成することは困難であるが、現場での混乱を最小限とすることを目的に作成しており、新たな知見を踏まえて適時更新していくものとする。

1 疫学等
(1) 今回のアウトブレイク以前
 ブタインフルエンザは、A型インフルエンザウイルス(ブタインフルエンザウイルス)の感染により、通常、ブタにインフルエンザを引き起こすが、死亡率は低い。発生は、一年を通して起こりうるが、人の発生と同様、晩秋から冬の期間に多い。
 ブタインフルエンザで認められるA型ウイルスのタイプは、H1N1亜型、H3N2亜型等が主要なものである。ヒトで通常のインフルエンザを引き起こすH1N1亜型等のウイルスがあるが、異なる株である

(2) 今回のアウトブレイクについて
 平成21年5月6日現在のWHOの報告によると、確定例が21カ国1490人報告されている(*注)。また、ヒトーヒト感染については、メキシコ、米国、スペインで確認されている。
 その他の国においても、疑い症例が発生しているとの報告がある。
 重症例については、メキシコと他国での死亡者数の差について明解な説明がなされていないが、メキシコ以外においては、比較的軽症であるとの報告が多い。ただし、米国においては、メキシコ以外での初の死亡者(メキシコより帰国した23か月の幼児)が報告されるほか、重症呼吸器疾患の報告もある。

 *注:最新情報については、WHOのWebサイト(http://www.who.int/en/)または国立感染症研究所のWebサイト(http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)で確認してください。

2 感染経路等
(1) 感染経路
 通常はヒトに感染しないが、ブタと直接接触した場合に散発的に感染することがある。
 ヒトからヒトに感染した例もあるが、これまでは集団感染には至っていなかった(米国CDCで把握している情報によると2005年12月〜2009年2月までに12例)。しかしながら、今回のメキシコ、米国での発病については、ヒト−ヒト間の感染が確認され、感染経路としては、主に飛沫感染、接触感染であると推定されている。
 現時点では、新型インフルエンザの感染方式についての知見は限られているため、季節性インフルエンザに準じて対応する。感染は大きな飛沫によって起きるため、近距離(1m以内)での咳、くしゃみにより感染する可能性がある。眼、結膜、消化管からの感染については、不明である。
 潜伏期間は1〜7日であるが、多くは1〜4日間である。
 ウイルス排泄期間は、一般的に発病1日前から発病後7日までである。小児、特に幼児については延長することがあると言われている。
 7日間経過していても、症状が持続している場合には感染力が保たれていると考える。
 現時点では、全ての排泄物、分泌物(下痢を含む)に感染性があるとして取り扱う。

(2) 感染予防
 ・通常の接触感染、飛沫感染対策(患者への接触については、念のためN95マスクを使用する)を実施する。
 ・疑いのある患者については、その他の患者とは別室に入れ、部屋から移動する際にはサージカルマスクの装着を指示する。
 ・有症状者に対しては、「咳エチケット」等についての保健指導を行う。(例:咳やくしゃみをするときは袖で覆う。使用したティッシュは注意してゴミ箱に捨てる。手を頻回に洗う。)
 ・患者に使用した食器や消毒機器については、石けんでの洗浄で再使用可能である。
 ・環境管理については、通常のインフルエンザシーズンにおける通常の清掃、消毒(70v/v%イソプロパノールもしくは消毒用エタノール)で対応が可能である。
 ・感染防御具等の使用については、現時点では新型インフルエンザの情報が不足していることから、当面厳しい基準に従う。すなわち、診療にあたっては、ガウン、未滅菌の手袋、フェイスシールドとともに、N95マスク(サージカルマスクではない)を装着することとし、追加情報が入り次第、可能な範囲で簡素化する。特に、フェイスシールドやゴーグルは目からの感染が不明であるため装着することが望ましい。

 1) N95マスクが望ましい場合
 ・確定例や疑い例に対して直接的なケアを行うとき
 ・気管支鏡検査などエアロゾルが発生する手技を行うとき
 ・蘇生術を行うとき
 2)その他の感染予防の工夫
 ・新型インフルエンザ患者のケアにあたるスタッフとそれ以外を分けること
 ・新型インフルエンザ患者の導線を一般の外来とは別にすること
 ・新型インフルエンザ患者専用の病棟を設定すること
 3)陰圧室の利用について
 ・新型インフルエンザ患者には、必ずしも使用する必要はない
 ・可能であれば、エアロゾルを産生するような手技を行う際には利用する
 ・検体を採取するスタッフは、必ず、N95マスク、未滅菌の手袋、ガウン、フェイスシールドを装着すること。
 ・診療にあたったスタッフについては、上記の基準に合致する防御をとらなかった場合には、予防内服の実施を検討する。
 ・職員の健康状態については、毎日確認し、発熱性疾患に罹患している恐れがある場合は休職とすること。その期間は、7日間または症状消失時までの長い方とする。


(3) ハイリスクグループ
 知見が限られており、現時点では以下に示す季節性インフルエンザに対するハイリスクグループを念頭に置く。
 ・5歳以下、50歳以上
 ・6カ月から18歳までの青少年のうち、アスピリン治療を受けていたり、Reye症候群を経験したことのある人
 ・妊婦
 ・慢性呼吸器、循環器、肝臓、血液、神経、神経筋、代謝性疾患を持つ者
 ・免疫抑制状態(例えばHIV感染者)
 ・介護施設入居者

3 臨床的特徴
 咳や鼻水等の気道の炎症に伴う症状に加えて、突然の高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛等を伴うことを特徴とする。なお、国際的連携のもとに最新の知見を集約し、変更される可能性がある。

4 症例定義(平成21年5月9日現在)
 厚生労働省通知(健感発第0429001号「新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)に係る症例定義及び届出様式について」)の症例定義(届出基準)を参照する。
 なお、最新情報については厚生労働省新型インフルエンザ対策関連情報のWebサイト(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/)を参照する。

(1) 疑似症例(疑い例)の診断
 医師は、38℃以上の発熱又は急性呼吸器症状(*1)があり、かつ次の(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかに該当する者であって、インフルエンザ迅速診断キットによりA型陽性かつB型陰性となったものを診察した場合、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。

 ただし、インフルエンザ迅速診断キットの結果がA型陰性かつB型陰性の場合であっても、医師が臨床的に新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)の感染を強く疑う場合には、同様の取り扱いとする。

  (1)10日以内に、感染可能期間内(*2)にある新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)患者と濃厚な接触歴(直接接触したこと又は2メートル以内に接近したことをいう。以下同様。)を有する者
  (2)10日以内に、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)に感染しているもしくはその疑いがある動物(豚等)との濃厚な接触歴を有する者
  (3)10日以内に、新型インフルエンザウイルス(豚インフルエンザH1N1)を含む患者由来の検体に、防御不十分な状況で接触した者、あるいはその疑いがある者
  (4)10日以内に、新型インフルエンザが蔓延している国又は地域(*注)に滞在もしくは旅行した者

(*)蔓延している国又は地域:
  平成21年5月9日現在:メキシコ・アメリカ(本土)・カナダ
  最新情報については、厚生労働省新型インフルエンザ対策関連情報のWebサイト(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/)を必ずご確認ください。

(2) 患者(確定例)の診断
 医師は、上記の臨床的特徴を有する者のうち、38℃以上の発熱または急性呼吸器症状(*1)のある者を診察した結果、症状や所見から新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)が疑われ、かつ、次の表の検査方法により、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
 この場合において、検査方法と検査材料以下に定めるもののいずれかを用いること。

  (1)分離・同定による病原体の検出
   (検査材料)喀痰・咽頭ぬぐい液・鼻汁・便・髄液・血液・その他
  (2)検体から直接のPCR法(Real-time PCR法、Lamp法等も可)による病原体の遺伝子の検出
   (検査材料)喀痰・咽頭ぬぐい液・鼻汁・便・髄液・血液・その他
  (3)中和試験による抗体の検出(ペア血清による抗体価の有意の上昇)
   (検査材料)血清

 <備考>
 診断の際には、新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)の流行情報、豚やインフルエンザ症状のある者との接触歴、渡航歴、職業などの情報を把握することが有用である。

  (*1)急性呼吸器症状:
   急性呼吸器症状とは、最近になって少なくとも以下の2つ以上の症状を呈した場合をいう。
    (1)鼻汁もしくは鼻閉、(2)咽頭痛、(3)咳嗽、(4)発熱または熱感や悪寒
  (*2)感染可能期間:
    発症1日前から発症後7日目までの9日間とする。

5 診察
 対面による診察の前に、可能であれば電話等により問診を行い、患者が症例定義に合致する可能性があるかを判断する。

(1) 症例定義に合致する可能性がある場合
 医療機関において、検体採取が可能な場合は、上記症例定義に従って検体採取を行う。
 その際、対応に疑義が生じたり、個別の症例について相談が必要な場合には、最寄りの保健所に連絡する。

 (1)患者が来院する前の場合
 新型インフルエンザの可能性があるものとして、発熱相談センターへの電話相談を勧奨する(参考1を参照)。
 (2)患者がすでに来院している場合
 最寄りの保健所、または発熱相談センターへ連絡して、疫学調査および確定検査のための検体搬送を依頼する。また、他の患者や医療機関職員への感染拡大を防ぐため、患者にサージカルマスクを着用させて適切な部屋で待機させる。
 (3)医療機関で検体採取が実施できる場合
 疑似症例については、咽頭または鼻腔ぬぐい液を2検体採取する(参考2を参照)。
 可能であれば、発症後4〜5日以内の採取が望ましい。また、検体採取の際は、N95マスク、ガウン、手袋、フェイスシールドを装着すること。
 なお、インフルエンザキット陰性だけでは、完全に新型インフルエンザを否定することは困難であり、臨床的に感染が強く疑われる場合には、確認検査を保健所に依頼すること。確定診断の実施については、保健所と協議した上で実施する。

(2) 症例定義に合致しない場合
 新型インフルエンザではないものとして、スタンダードプレコ−ション(標準予防策)の実施など、通常の院内感染対策を行った上で通常の診療を行う。

6 治療
 (1) 総論
  ・タミフル、リレンザには感受性があり(シンメトレルには耐性)、臨床的な効果も確認されている。
  ・疑似症例であっても、できるだけ早期にタミフルの投薬を実施すること。48時間以内の投薬が特に効果があるが、48時間を超えても効果があるとする研究もあるので、投与しても構わない。
  ・治療期間は5日間。
  ・投与量は、13歳以上については、75mg×2回/日。
  ・この治療法については確定例についても同じ。
  ・アスピリンやアスピリンを含む薬剤については、Reye症候群の可能性があるので使用禁止。

 (2) 妊婦への投与
  ・妊婦へのタミフルの安全性は証明されていない
  ・投与のリスクとベネフィットを天秤にかけて判断
  ・ただし、これまで投与によって妊娠への影響や、生まれてきた児への影響はCDCには報告されていない。

 (3) 小児への投与
  ・現在、日本国内においては、添付文書では「10歳以上の未成年においては、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること」とされている。主治医により、投与することのメリットがデメリットを上回ると判断された場合には、「本剤により治療が開始された後は、(1)異常行動の発現の恐れがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は患者が一人にならないように配慮すること」等、必要な事項について患者・家族に説明を行う。

 ・投与する場合には、
体重15kg未満 :30mg×2回/日
体重15kg以上23kg未満 :45mg×2回/日
体重23kg以上40kg未満 :60mg×2回/日
体重40kg以上 :75mg×2回/日
 を目安に投与する。

 1歳未満への投与については、安全性が確認されていない。米国においては、新型インフルエンザの発生を受けて、緊急使用が許可されている(詳細は米国CDCのWebページを参照。)。

7 予防投与
 平成21年5月3日付け厚生労働省通知(事務連絡「新型インフルエンザの診療等に関する情報(抗インフルエンザ薬の予防投与の考え方等)について」)に基づく予防投薬に関する考え方は以下のとおり。

(1) 予防投与対象者
 十分な感染予防策を行わずに、新型インフルエンザウイルスの曝露を受けた者を予防投与の対象者とする。なお、現時点では「抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン」に基づいて対応する。

  <国内発生早期〜感染拡大期><まん延期以降>
 医療従事者・水際対策関係者投与投与
 患者の同居者投与効果を評価して検討
 患者の濃厚接触者投与原則として見合わせ
 患者と同じ学校・職場に通う者状況により投与原則として見合わせ
 地域封じ込めの実施地域の住民投与

(2) 予防投与の用法と用量
 A型インフルエンザウイルス感染症の予防投与に適応があるのは、タミフルとリレンザのみである。現在の添付文書上の適応に基づくと以下の通りとなる。

  タミフルリレンザ
 13歳未満適応なし1日1回2ブリスター10日間
 13歳以上1日1回1カプセル7〜10日間1日1回2ブリスター10日間

*商品名:タミフル=「タミフルカプセル75」/リレンザ=「リレンザ」
*予防投与に関して、現時点では新型インフルエンザに対する抗ウイルス薬の予防効果は必ずしも明らかではないこと、また、添付文書をもとに副作用等の発現リスクがあること等について、投与対象者(未成年者の場合は保護者を含む)に十分情報提供し、同意を得た上で行うこととする。
*リレンザについては、4歳以下に対する安全性は確立していない。また、小児に対して適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。

(3) 停留対象者への予防投与
 停留対象者への予防投与についても、(1) の「患者の濃厚接触者」に準じて処方を行う。

(4) 処方を希望する者への事前処方
 不必要な予防投与による副作用やウイルスの耐性化の発生を避けるとともに、抗ウイルス薬の効率的な使用を行うべきことから、第2段階(国内発生期)における予防投与については、濃厚接触者に対して行うことを基本とする。
 なお、第3段階(感染拡大期からまん延期)における予防投与に関しては、予防投与の効果等を評価し、今後さらに検討する。

(5) 予防投与の費用負担について
 原則自費負担となるが、国内発生早期および感染拡大期においては、予防内服用のタミフルを投与する。

(6) 疑似症に対する投薬
 確定診断がついていない「疑似症例」に対しても、タミフル等の投与は現時点では速やかに行うことが望ましいと考えられる。

8 保健所への連絡
 疑似症例(疑い症例)の場合には、感染症法に基づき、保健所が入院勧告、二次感染予防や感染源の探索のための患者への聞き取り調査等を実施するので、医療機関においては患者にその旨を簡単に説明し待機を求める共に、最寄りの保健所、または発熱相談センターに電話連絡を行い、その後の対応について協議する。
 疑似症例患者への対応については、二次感染予防のための対応を十分にとるとともに、患者の人権についても十分に配慮すること。

9 医療提供体制
 現時点では、府民は受診の前に発熱相談センターに電話連絡を行い、必要に応じて発熱相談センターが適切な医療機関を紹介する取り扱いとなっている。ただし、啓発にも関わらず、突然一般医療機関を受診することも考えられるが、その際は、保健所にその旨の電話連絡を行い(直接保健所へ行くように指示しない)、対応を協議する。
 一般医療機関においても、パンデミックになれば全ての医療機関で診療を行うこと、感染に気づいていない患者が受診する可能性があることから、スタンダードプレコ−ション(標準予防策)の実施や、注意書きの掲示(参考3を参照)、職員への研修等を普段から実施しておくべきである。

 *当マニュアルについては、平成21年4月28日に開催した「大阪府新型インフルエンザ対策協議会」における専門家のご意見を踏まえて作成したものを最近の知見をもとに改定したものです。

 *当マニュアルの内容については、新たな知見により日々変化するため、最新の情報をWHOやCDC等のWebサイトでご確認下さい。

 WHO(世界保健機関) インフルエンザA H1N1
 http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/
 CDC(米国疾病対策センター) インフルエンザA H1N1
 http://www.cdc.gov/h1n1flu/
 厚生労働省 新型インフルエンザ対策関連情報
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/
 国立感染症研究所感染症情報センター 新型インフルエンザ
 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/
 大阪府 新型インフルエンザに関する情報
 http://www.pref.osaka.jp/chiiki/kenkou/influ/influ.html

(参考1)大阪府内保健所連絡先一覧表
  大阪府保健所一覧
  http://www.pref.osaka.jp/chiiki/kenkou/hokensho/itiran/index.html
  発熱相談センター一覧
  http://www.pref.osaka.jp/chiiki/kenkou/influ/hokensho.html

(参考2)咽頭ぬぐい液の採取方法について
 (採取にあたって)
  ・最寄りの保健所と連携して採取する。
  ・大阪府立公衆衛生研究所への検体の搬送については、保健所が行う。
 (手技の手順)
  ※ 特別な手技は必要ではなく、一般的な咽頭(鼻腔)ぬぐい液の採取である。
  1 N95マスク、ガウン、手袋、フェイスシールド(ゴーグル)を装着する。
  2 患者を壁に頭をつけるように座らせることで、手技中に頭が逃げないように工夫する。
  3 まっすぐに採取キットを鼻腔底部に沿って挿入することで、咽頭に到達することができる。
  4 片方の鼻孔で咽頭に到達しなければ、逆の鼻孔から再度行う。
  5 採取キットを5〜10秒程度回転させ、表面の細胞を採取する。
  6 素早く採取キットをとりだし、ハンクス液(緩衝液。無ければ生理食塩水
    でも可能。)につける。乾燥した場合には検査は不可能。
  7 冷蔵(室温保存および凍結保存禁止)して、できる限り早く(3日以内は検査可能)に検査機関に持ち込む。

 (参考)
  ・Nasopharyngeal Swab Collection for Swine Influenza ,California Department of Public Health

■参考
診察室で実施可能な迅速抗原検出キットを使いこなす

(参考3)掲示用ポスター書式例

 医療機関への受診を希望されるみなさまへ

 現在、新型インフルエンザがメキシコ等の海外で発生しております。
 発生国からの帰国後10日以内に38℃以上の発熱があるなど、感染が疑われる症状が出現した場合は、まず最寄りの発熱相談センターへ連絡し、受診等に関する指示を受けてください。

 新型インフルエンザの場合も「マスク」「手洗い」「うがい」が予防に有効です

 当地域の発熱相談センター連絡先
   TEL                

                           当    院
                              医師会
                           大阪府医師会