写真 新型インフルエンザまん延期の診療継続計画作り(新型インフルエンザ大流行時の公衆衛生対策に関する研究)

 5月1日未明、日本でも新型インフルエンザの感染疑い例が1例、発生した。確定診断には時間がかかるが、国内で感染疑い例が出たことで、国内早期発生期での対策、あるいはその先の感染拡大期、まん延期も視野に入れた準備・検討が必要になってきた。医療機関の総動員体制となれば、一般医療機関、特に地域医療の最前線にある診療所にも対応が求められる。では今この時点で、できることは何か。「新型インフルエンザ大流行時の公衆衛生対策に関する研究」(主任研究者:押谷仁・東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授)がまとめたワークブックが、1つの検討材料を示している。

 ワークブックの名称は、「新型インフルエンザまん延期の診療継続計画作り」(写真)。「一般医療機関が新型インフルエンザ対策の検討を行うためのきっかけを提供し、実際の計画策定を支援すること」(編集にあたった北里大医学部衛生学・公衆衛生学助教の和田耕治氏)を目的としている。

 特徴は、患者数が膨大となる「まん延期」に備えるために、今確認すべき重要な10項目をチェックリストという形で提供している点(表1)。「医療機関としての方針と担当組織を設置する」「迅速かつ的確な情報を確保する」「受け入れ病床の確認と患者の動線の確保をする」など、具体的な対策を考える目安が示されている。

表1 確認すべき10項目

アクション 1 ・医療機関としての方針と担当組織を設置する
アクション 2 ・迅速かつ的確な情報を確保する 
アクション 3 ・受け入れ病床の確認と患者の動線の確保をする
アクション 4 ・受け入れ能力を調整する
アクション 5 ・職員の健康を管理する
アクション 6 ・職員、関連機関、地域住民との緊急連絡体制を整備する
アクション 7 ・地域の医療機関と行政機関との連携を始める
アクション 8 ・医薬品や必要物品を確保できるか確認する
アクション 9 ・職員の行動を明確にする
アクション10・ 訓練を実施する

 たとえばアクション1は、「組織の決定」が第一歩であることを示している。アクション2では、医療機関の決定の根拠となる「最新情報の把握」がポイントとなる。アクション3から8は、医療機関全体の「診療継続計画の作成」が目的だ。これらをもとに、アクション9では、それぞれの職員の行動や役割を示した「マニュアル作成」の段階となる。最後のアクション10は、計画やマニュアルに沿った「訓練」の実施を解説している。「訓練」で明らかになった課題については、再度アクション1に戻って検討を深めることが求められる。

 ただし、ワークブックは、「医療機関に必要な事項をすべて網羅しているわけではない」ことに留意が必要だ。新型インフルエンザの流行に対応するには、地域全体での対策が求められる。あくまでも、診療所の機能を継続するための基本計画を作る際の参考とすべきものだ。

 なお、ワークブックを参考にする際は、国の「医療体制に関するガイドライン」や「医療施設等の感染対策ガイドライン」も参照にして欲しいとしている。

■参考資料
新型インフルエンザまん延期の診療継続計画作り(pdf.ログインが必要です)
医療体制に関するガイドライン
医療施設等の感染対策ガイドライン