世界保健機関WHO)は日本時間の4月27日、当初予定を早め再度緊急委員会を開催し、28日未明、フェーズ4への引き上げを決定した。これを機に、日本ではどのような対策が動き出すのか。この2月に公表された「新型インフルエンザ対策行動計画」に沿って、今後の動きを確認しておきたい。

 行動計画では、未発生期、海外発生期、国内発生期、感染拡大期、まん延期、回復期、小康期と、段階を追って具体的な取り組みが計画されている(図1)。

図1 対策の転換点を明確にした5段階を設定した(改訂行動計画、防衛医科大学校内科学講座2感染症教授の川名明彦氏の講演等より作成)

 WHOのフェーズ4宣言を機に海外発生期に入るわけだが、この段階では、「ウイルスの侵入防止、在外邦人の支援」が対策の方針となる。

 具体的には、まず、総理と全閣僚からなる「新型インフルエンザ対策本部」が設置されることになっている。WHO宣言の前であっても、新型インフルエンザの発生が疑われる場合には、関係閣僚会議を開催し、初動の対処方針を決定する。この点については、4月27日午前に「豚インフルエンザ対策に関する関係閣僚会合」が開催され、すでに「当面の政府対処方針」(表1)を決定。初動は実行段階に移っている。

表1 当面の政府対処方針豚インフルエンザ対策に関する関係閣僚会合(4月27日)

 今回の豚インフルエンザのメキシコ及び米国における発生については、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当する」との認識を示しており、我が国としても警戒を強化すべき事態であることから、政府としては、当面、次の措置を講ずる。他方、国内での発生は確認されていないことも踏まえ、国民各位に対しては、警戒を行いつつ、冷静な対応を行うようお願いする。
1.国際的な連携を密にし、メキシコ等における状況、WHOや諸外国の状況、ウイルスの特徴等に関する情報収集に最大限の努力を払い、国民に迅速かつ的確な情報提供を行う。
2.在外邦人に対し支援を行うこと及びウイルスの国内侵入をできる限り防止することを目的として、以下の水際対策を実施する。
(1)メキシコ等の在外邦人に対する情報提供を含む支援の強化
(2)検疫・入国審査の強化、空港における広報活動の強化
(3)メキシコ等から入国した感染者や感染したの恐れある人に対する適切な医療等の措置
3.ワクチンの製造について早急に検討する。
4.国内における患者の発生に備え、以下の対策を実施する。
(1)保健・医療分野を始めとする全ての関係者に対する的確な情報提供
(2)発熱相談センターと発熱外来の設置の準備
(3)国内サーベランスの強化
(4)電気・ガス・水道、食料品・生活必需品等の事業者に対する供給体制の確認や注意喚起

 たとえば、「メキシコ等の在外邦人に対する情報提供を含む支援の強化」では、在メキシコ日本国大使館を筆頭に、精力的に情報収集を行い、在外邦人らへの情報提供を展開している。在中国日本国大使館や在インドネシア日本大使館なども、感染確認地の情報を伝えるだけでなく、各国の対応について、まとめて情報提供に取り組んでいる。

「検疫の集約化や停留等」も

 WHO宣言を受けて、「検疫の集約化や停留等」も始まる。行動計画では、発生国からの旅客機・客船に対する検疫実施は、4空港(成田、関西、中部、福岡)と3港(横浜、神戸、関門)に集約する。また、検疫により感染が疑わしい人が把握されれば、医師の診察を経て、隔離や停留、健康監視の対象とする。

 また、医療従事者や社会機能維持者らに対して、備蓄している大流行前ワクチン(プレパンデミックワクチン)を接種開始する計画だった。だが、備蓄ワクチンはH5N1型を対象としたものであり、今回の豚インフルエンザ・A/H1N1に対しては効果が期待できないとみられることから、H5N1型大流行前ワクチンについては、実施されないものと思われる。

 今後、市民生活にもさまざまな影響が出てくると考えられるが、新型インフルエンザ(豚インフルエンザA/H1N1)の被害を最小限にとどめるために全地球規模で対策に取り組んでいるという国民一人ひとりの理解が欠かせない。

■関連情報
海外における豚インフルエンザの発生に関する政府の対応状況(首相官邸;官邸において発表された情報を順次掲載している)
厚生労働省の緊急情報(トップページ)