2009年に入って確認された鳥インフルエンザH5N1ヒト感染例は、世界保健機関WHO)の4月8日時点のまとめでは、エジプトで8例から12例に、中国では4例から7例へと増加し、昨年を上回った。世界全体では22例とまだ半数に留まっているが、予断を許さない状況に変わりはない。加えて、エジプトでは死亡例がゼロとなっている。このため、全体でも死亡率は31.8%にまで低下した(図1)。

図1 鳥インフルエンザ・H5N1のヒト感染例(確定)と死亡率の推移(左軸;確定患者数、右軸;死亡率、WHOのまとめから作成)

 全体的な傾向としては、2006年の115例をピークに、2007年は88例、2008年は44例と鎮静化の傾向を強めていた。ただし、2009年はインドネシアからの報告が反映されていない状況にあり、今後、増える可能性は高い。

 気になるのは死亡率の動向だ。エジプトでは、2009年に入ってから確認された12例中、死亡例は今のところ報告がなく、死亡率はゼロとなっている。このため、全体の死亡率は31.8%にまで低下、WHOのデータでは2003年以降、もっとも低い数字となった。

 エジプトでの死亡率の低下は、治療体制の整備を反映したものとも考えられるが、新型インフルエンザの発生兆候の1つとして「軽症例の増加」があることから、ウイルス自体の変化も見極める必要がありそうだ。