労働科学研究所の吉川徹氏

 N95/DS2マスクのエア漏れ率を比較したところ、マスクの種類によっては、指導後であっても「適切な装着」の割合が30%に達しない製品があることが分かった。N95/DS2マスクは、性能よりもコスト面から採用が決まる傾向にあるとの指摘もあり、実際に使用する医療関係者は、装着テストなどを通じて製品の性能を確認しておく必要がありそうだ。

 労働科学研究所の吉川徹氏(写真)らが検討したもので、3月29日から4月1日にかけて東京で開催された日本衛生学会で発表した。 

 吉川氏らは、N95/DS2マスクの適切な着用への取り組みが十分に浸透していないとの判断から、実際に導入されている数種類のマスクについて、漏れ率に着目し、適切な装着の評価を試みた。同時に、マスクごとに、装着指導のポイントを検討した。

 対象としたマスク(形状、被験者)は、マスクA(カップ型、n=65)、マスクB(折りたたみ型、n=186)、マスクC(カップ型接顔クッション付、n=189)、マスクD(カップ型、n=30)、マスクE(くちばし型、n=75)だった。

 漏れ率は、労研式マスクフィッティングテスターMT-03型を使い測定した。測定方法は、1つのマスクにつき、(1)説明書を読まずに装着、(2)説明書を読んでから装着し、鼻の調整後、(3)さらに顎の調整後、(4)測定実施者との討論を経た後−−の計4回にわたって実施した。

 漏れ率は10%以下を「適切」と評価し、マスクごとに平均値を算出した。

 その結果、全体的には、初回から2回目、3回目、4回目と装着の経験を積むにつれて、漏れ率は改善し、適正装着率は上昇する傾向にあった。

 ただし、マスクによっては、4回目の測定時点においても、漏れ率10%以下だった被験者の割合(適正装着率)が27.3%と低いものがあった(図1)。一方で、初回時において、すでに適正装着率が74.1%と高いものもあった。

図1 漏れ率10%以下だった被験者の割合(適正装着率)

 適正装着率の低かったマスクについては、「指導を十分に行い、鼻のフィットの仕方やフィットテストを重ねても(適正な装着の)改善が難しいマスクの形状である」との評価となった。

 適切な着用への取り組みとして、フィットテストの実施や装着の指導などが欠かせないことが改めて示された。同時に、購入時点での製品評価も十分に行うべきであると、注意を喚起する報告でもあった。