佐賀大医学部附属病院の救命救急センターの井本佳織氏(右)と前田悠子氏(左)

 N95マスクのエア漏れ率を比較したところ、マスクの種類によっては、指導後であっても装着適正率が24%と低いものがあることが分かった。また、初回指導から半年後に再度測定した結果、適正率は2〜18ポイントも低下しており、定期的なフィッティングチェックと装着指導の必要性が改めて示された。2月末に横浜で開催された日本環境感染症学会で、佐賀大医学部附属病院の救命救急センターの井本佳織氏(写真)らが発表した。

 比較検討したのは、ノーズクリップ付きマスクS/Mサイズ(マスクA)、接顔クッション付きフリーサイズマスク(マスクB)、ペリカン型マスク(マスクC)の3種類。

 医療スタッフ50人を対象に、それぞれのマスクを装着してもらい、エア漏れ率を測定した。まず、被験者が正しいと認識している装着方法でマスクをしてもらい測定。次に、正しい装着方法を指導した後に、2回目の漏れ率を測定した。さらに半年後に、再び漏れ率を測定し、指導前、指導後、半年後で適正率を求めた。

 エア漏れ率は、柴田科学社製マスクフィッティングテスターを用い、粉じん漏れ率10%以下であれば適正と判定した。

 調査の結果、指導前に最も適正率が高かったのは、マスクBで78%だった。一方、マスクCは10%と少なかった(図1)。指導後は、マスクBがやはり高く90%となった。マスクAが78%、マスクCは24%だった。

図1 N95マスクの装着適正率

 半年後の結果は、マスクBが88%、マスクAが60%、マスクCが14%とそれぞれ低下していた。

 演者らは、「マスクの形状によっては、継続した装着方法の指導が必要なものと、初めての装着でも高い装着適正率が得られるものがあった」と結論。N95マスクを選択する際は、複数を採用するのではなく、1つに絞り、装着の指導方法を確立した方が効果的であるなどと考察した。また、指導半年後に装着率は低下していたことから、定期的なフィッティングチェックと装着指導が重要と強調した。