松山記念病院の山内勇人氏

 厚生労働省がインフルエンザ啓発ポスターなどで呼びかけている「咳エチケット」だが、浸透度は不十分であることが明らかになった。愛媛県松山市を中心とする医療系学校の学生を対象に行った調査によると、「咳エチケット」という言葉を聞いたことがないとの回答が80%を占めていた。2月末に横浜で開催された日本環境感染症学会で、松山記念病院山内勇人氏(写真)らが発表した。

 調査は、松山市とその近隣の医療系学校の1回生652人を対象に、2008年7月から8月に実施。604人から回答を得た(回収率は92.6%)。年齢は19.2±2.57歳。性別は男性37.8%、女性62.2%だった。

 調査では、まず「インフルエンザの主たる感染経路」を尋ねているが、「咳やくしゃみによる唾しぶき」と理解している人は50.7%あった。また、「インフルエンザ対策として思い浮かぶもの」の問いでは、「ワクチン」と回答した人が90.2%と最も多く、「うがい」83.6%、「手洗い」77%と続いた。しかし、「マスク」は21.4%と低かった。この結果について山内氏らは、厚生労働省のインフルエンザ啓発ポスターが2006年度まで、「ワクチン・手洗い・うがい」としていたことと関係があるとみている。

図1 「咳エチケット」の言葉はまだ十分に浸透していない

 ポスターの標語は2007年度から「咳エチケット」へ変わったが、調査ではこの言葉を知っているかどうかも尋ねている。その結果、「よく知っている」は3.1%に留まり、「聞いたことがあるがよくは知らない」も16.1%に過ぎなかった。80.8%もが「聞いたことがない」と回答しており、「咳エチケット」の言葉はまだ十分に浸透していないことが分かった(図1)。

 山内氏らはこうした結果をもとに、「咳エチケット」という言葉の浸透を図るために、特に「マスク」の着用を広める活動に取り組んでいる。ポスターやキャンペーンソング(「咳でる時のマナーぞなぁ」)を製作済みで、また、県薬剤師会との共同で、調剤薬局での教育啓発、マスクの販売促進にも取り掛かっているという。

 山内氏は、「新型インフルエンザ対策のためには地元の一人ひとりの力を結集する必要がある。地域力を高めるためにも、まずは季節性インフルエンザに対して、地元住民も巻き込んだ対策に取り組んでいきたい」と話している。

■キャンペーンソング「咳でる時のマナーぞなぁ」は、以下で視聴できます。
→咳エチケットのキャンペーンソング(オリジナル編)