日本臨床内科医会インフルエンザ研究班長の河合直樹氏

 昨シーズンの流行で特筆すべきは、Aソ連型におけるオセルタミビル(商品名;タミフル耐性ウイルスの出現だった。海外では北欧やアフリカなどで高い頻度で確認され、日本でも鳥取県から32.4%という報告もあった。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班長の河合直樹氏(写真)らは、「耐性ウイルスを意識した上での抗インフルエンザ薬治療を」と呼びかけ、治療指針(私案)も示している。

 病原微生物検出情報(2008年12月4日現在、国立感染症研究所)によると、2008年第36〜48週のまとめでは、AH1亜型(Aソ連型)が21.6%、AH3亜型(A香港型)が48.0%、B型が30.4%という割合で検出されている。本格的な季節性インフルエンザの流行はこれからで、どの型が主流になるのか、あるいはこのまま混合流行パターンでいくのか、注意深く見守る必要がある。特にAソ連型については、耐性ウイルスが流行の主流になるかもしれないとの見方もあり、警戒を要する。

 では、日常診療での対応はどうすべきなのか。

 河合氏ら日本臨床内科医会インフルエンザ研究班では、メンバー間で耐性ウイルスを意識した治療方針を検討し、今シーズンの抗インフルエンザ薬の治療指針(私案)をまとめた(表1)。

表1 2008/2009年シーズンの抗インフルエンザ薬治療指針(私案)(作成者:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 河合直樹、他)

 治療指針では、A型、B型別に、ザナミビル(商品名;リレンザ)、タミフル、アマンタジン(商品名;シンメトレルなど)の3種類の抗インフルエンザ薬をどのように使っていくべきかを示している。

 前提は、「H1N1、H3N2の流行状況などを把握した上で」(河合氏)となる。

 現時点での流行は混在型であるから、私案によれば、タミフル耐性H1N1の流行が否定的な場合はタミフルも使用可能となる。ただし、タミフル耐性H1N1の流行が確認されれば、リレンザが望ましいとなる。リレンザは、H1N1、H3N2とも、5歳以上で使用可能で、「現状では耐性ウイルスは極めてまれ」(河合氏)と評価されているためだ。

 アマンタジンについては、「H3N2は耐性が極めて多い」ことから、H3N2が流行しているか、あるいはH1N1とH3N2が混在して流行している場合は「使用しない方が無難」としている。ただし、現状ではタミフル耐性H1N1の多くはアマンタジンに感受性があると報告されているため、タミフル耐性H1N1が流行しアマンタジンに感受性がある場合は使用可能とした。

 今シーズンのインフルエンザでは、耐性ウイルスの出現に警戒しながらの治療とならざるをえない。サーベイランス情報はもとより、ウイルスの検出情報などにも、これまで以上の注意を払うべきだろう。

 その一方で、新型インフルエンザへも備えも忘れてはならない。

 なお、河合氏ら日本臨床内科医会インフルエンザ研究班のメンバーが検討した今シーズンの抗インフルエンザ薬の治療指針(私案)に関する詳細情報は、日経メディカル2009年1月号に掲載予定。