「新型インフルエンザは温暖化、金融恐慌にならぶ危機」と語る石原都知事

 私たちは三重苦の中に生きている――。11月17日、東京都福祉保健局新型インフルエンザ対策シンポジウムを開催した。冒頭、挨拶に立った石原慎太郎都知事(写真)は、新型インフルエンザが温暖化、金融恐慌にならぶ危機であるとの認識を示した。「三重苦」の中では最も焦眉の急であるとも指摘、その対策については、一人ひとりが考えていかなければならないと強調した。

 月曜日の午後の開催にも関わらず、シンポジウムには500人以上が参加し、都民の新型インフルエンザに対する関心の高さを示した。

 石原都知事は、環境大臣を務めた経験を語り、「関心があり問題意識もある」と温暖化問題から説き起こした。北極海の氷が溶け、それをいいことに地下に眠る資源をめぐって、国家間で縄張り争いが始まっていると批判。京都議定書の批准は必要な国ほど遅れているとし、さらには今年開かれた洞爺湖サミットでは「何も決まらなかった」と怒りを込めた。

 その上で、新型インフルエンザの脅威を強調。温暖化問題、さらには眼前の危機である金融恐慌にも匹敵すると言及し、これらを「三重苦」と表現した。

 対策面では、都が国に先駆けて様々な対策に取り組んでいる点を紹介。今回のようなシンポジウムを機に、都民の一人ひとりが新型インフルエンザ対策について考えていくことに期待を示した。

 新型インフルエンザ対策として独自の取り組みを進める東京都は、(1)新型インフルエンザ対策会議の設置、都民や事業者らへの啓発、(2)医療体制の整備、連携体制の構築、(3)抗インフルエンザ薬の備蓄拡大、(4)検査体制の強化、基礎研究の推進など――の柱からなる対策を掲げ、9月補正予算で88億円にのぼる追加の対策費を確保したばかり。今回のシンポジウムは「啓発」の一環として開催された。

500人以上が参加したシンポジウム

 シンポジウムではWHO西太平洋地域事務局長の尾身茂氏が基調講演を行ったほか、国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏、国立国際医療センター国際疾病センター長の工藤宏一郎氏が講演。都の福祉保健局技監の桜山豊夫氏の司会の下、尾身氏も加わったパネルディスカッションも開催された(詳細については後日掲載の予定)。

(三和 護=日経メディカル別冊)