季節性インフルエンザAソ連型H1N1)で、欧州中心に確認されていたオセルタミビルタミフル耐性ウイルスは、新たに南アフリカやガーナ、チリなどからも報告があり、ここにきて急速な広がりを見せている。オランダからは死亡例も報告されており、専門家からは「耐性ウイルスの監視強化」を求める声が上がっている。



New England Journal of Medicineの9月4日号

 世界保健機関(WHO)の集計によると、2008年4月から8月20日までに、世界中で778分離株のうち242株に耐性ウイルスが認められた(参考文献1)。耐性化率は31%に上った。2007年10月から2008年3月31日までの集計では、7528分離株のうち1182株に耐性が見つかっていた。耐性化率は16%で、4月からの5カ月あまりで倍増したことになる。

 2008年4月から8月20日までの集計で注目すべきは、南アフリカとオーストラリア。それぞれ107分離株、10分離株を検査した結果、すべての株から耐性が見つかっている(耐性化率は両国とも100%)。このほかフランスやノルウェー、ロシアなどの欧州では17分離株中12株(71%)に、香港では583分離株中97株(17%)に、それぞれ耐性が確認されている。

 日本では2月21日現在で、検査対象の100分離株中5株にタミフル耐性ウイルスが見つかっていた。2007年10月から2008年3月31日までのWHO集計では、1652分離株中44株(3%)に確認されている。なお、2008年4月から8月20日までは報告はない。

 一方で、New England Journal of Medicineの9月4日号に、気がかりな論文が発表された。オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学医療センターで、白血病のため3年も闘病していた67歳男性が死亡し、この症例からタミフル耐性ウイルスが見つかったというのだ。検体からは、H274Y(タミフルが効かない変異)とL26FL(シンメトレルが効かない変異)が検出されている(参考文献2)。

 タミフル耐性の広がりは、現在進められている新型インフルエンザ対策としての抗インフルエンザ薬の備蓄に影響を与えるのは必至だ。すでに欧州を中心に、タミフルに依存しすぎる現状を見直す動きが出ているが、今後さらに加速していくに違いない。

■参考文献
1)Influenza A(H1N1) virus resistance to oseltamivir
2)Fatal Oseltamivir-Resistant Influenza Virus Infection