「まずは知識のワクチンを」。インターリスク総研の本田茂樹氏が提唱するキャッチフレーズだ。同氏に、リスクマネジメントの視点から、医療機関にも役立つ「新型インフルエンザ対策の基本」をまとめていただいた。今回は、「欠勤者を見込んだ対策」に焦点を当ててもらった。(編集部)

 厚生労働省は、7月30日に「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン(改定案)」(以下、「ガイドライン(改定案)」)を発表、現在パブリックオピニオンを募集中である。今回のガイドライン(改定案)では、新型インフルエンザ発生時に想定される被害を勘案しつつ、事態の進展に応じた事業継続計画を策定しておくことが強く求められている。

1.社会機能維持に関わる者として事業継続を要請される事業者

 新型インフルエンザの流行の波は複数回あると想定されており、1回の流行の波は約2カ月続くと考えられている。ガイドライン(改定案)では、この2カ月の間、事業が停止されることによって最低限の国民生活の維持が困難になる事業者は、その社会的責任を果たす観点から事業継続を検討するよう求めている。当然のことながら、医療機関はこれら事業継続を要請される事業者に含まれており、新型インフルエンザの流行時においても事業を継続するため、様々なことを検討しておくことが必要となる(表1)。

2.新型インフルエンザ流行時に、だれがどのくらい欠勤するか

 新型インフルエンザの被害の対象は、建物や設備ではなくヒトであるから、対策をたてるにあたり、まずどの程度、スタッフが欠勤するかを押さえておくことが重要である。ガイドライン(改定案)においては、それぞれの流行フェーズでどれくらいの欠勤者が出るかの想定シナリオを提示している(表2)。

 その1つとして、フェーズ5Bで20%、フェーズ6Bで40%の欠勤者が出るという例示がある(米国では、数週間にわたり50%の欠勤者が出るというシナリオも想定している)。

 この想定シナリオは、新型インフルエンザの発症率や致死率によって変わり得るが、国民の生命・健康を維持するために重要な役割を担っている医療機関は、相当程度の欠勤者が出ることを踏まえた上で、人員計画を策定しておく必要がある。特にフェーズ4Bになると、学校の休校や福祉サービスの一部休止が見込まれ、共働き家族は仕事を休んで対応せざるを得ず、医療関係事業者は、欠勤の可能性の高いスタッフを十分に把握した上で、当該人員計画を進めるべきである。