7月13日に開かれた市民公開講座(佐野市医師会、佐野市などの共催)では、110人もの市民を前に、まず、のしろクリニックの野城孝夫氏が「新型インフルエンザを知ろう」と題してレビューを行った。次いで、志賀クリニックの志賀敏郎氏は、22項目ものQ&Aを用意し、インフルエンザの知識を分かりやすく整理した。

 「知彼知己、百戦不殆」。野城氏(写真)は、孫子の言葉で講演を締めくくった。正しい知識を持つことは、冷静な対応を生む土台となる。野城氏の訴えは、今回の市民講座のテーマである「新型インフルエンザとは−−今だから、知っておきたい新型インフルエンザの知識」に呼応したものだ。

「知彼知己、百戦不殆」が大事と話す野城氏

 野城氏はまず、インフルエンザの歴史から説き起こした。たとえばヒポクラテスの記述(紀元前412)に、「ある日突然多数の住民が高熱を出し、震えがきて咳が盛んになった。たちまち村中にこの不思議な病は広がり、住民たちは怯えたが、あっという間に去っていった」との表現があると指摘。また、16世紀にはイタリアの星占いをもとに、「流行が周期的に現れてくるので、これを星や寒気の影響によるものと考えたことから、influence(影響)との表現が生まれ、後にinfluenzaとなった」という説を紹介した。

 日本の歴史にも触れ、源氏物語の夕顔の中にある「この暁よりしはぶきやみには侍らん」という記述や、増鏡の中に「今年はいかなるにか、しはぶきやみはやりて人多く失せたもふ中に・・」との記述があると指摘。また、江戸時代には、「享保元年夏に熱病で8万人余が1カ月で死亡し、火葬も間に合わず、死骸をまこもに包み品川沖へ流し水葬した」との記録があり、同様に、享保18年夏には大坂市中で2623人死亡、天明4年には死者3万人などという記録があることを指摘し、インフルエンザという病気が今に始まったことではないことを強調した。

 その上で、新型インフルエンザの現状を説明。インフルエンザウイルスの分類や新型インフルエンザ流行の歴史と周期性、新型インフルエンザの正体、ヒトでの鳥インフルエンザ発生状況の意味などを解き明かしていった。

 途中、年初に放映されたNHKの特番「シリーズ 最強ウイルス 第2夜 調査報告 新型インフルエンザの恐怖」の一部を紹介。新型インフルエンザの流行が差し迫った危機であることを強調した。

 後半で対策面に触れた野城氏は、国や県などが基本計画を作成するなど、大枠では対策が動き出しているように見えると振り返った。医療機関や市町など地域に期待されている取り組みとして、(1)医療体制(発熱外来・専用病棟)の確保、(2)職場・事業場における対策(事業継続)、(3)個人、一般家庭における取り組み−−といった項目が書かれていることにも言及。しかし、地域レベルの具体的な対策は、ほとんどがこれからであるとの認識を示し、「新型インフルエンザに関する情報に対して敏感になり、地域全体で対策に取り組もう」(野城氏)と呼びかけた。

新型インフルエンザの知識を得ることの意義を語る志賀氏

 次いで登壇した志賀氏(写真)は、「これであなたもインフルエンザ博士」と題して、Q&A形式で知識の整理を試みた。ここではQの部分の列挙にとどめ、回答は次ページで示したい。皆さんも、トライしてみていただきたい。

Q1 インフルエンザの原因は?
  A1 インフルエンザという細菌
  A2 インフルエンザというウイルス
  A3 インフルエンザという虫

Q2 インフルエンザは身体のどこから侵入する?
  A1 皮膚
  A2 のど・鼻
  A3 胃・大腸

Q3 感染経路は?
  A1 血液感染
  A2 飛沫(ひまつ)感染
  A3 空気感染

Q4 咳でインフルエンザウイルスをどれぐらい出すか(2m離れたところで確認できる数)?
  A1 1万個
  A2 10万個
  A3 100万個

Q5 インフルエンザウイルスが活発になる環境は?
  A1 温度が低く湿度が低い
  A2 温度が高く湿度が高い
  A3 関係ない

Q6 インフルエンザとかぜ症候群の違いは?
   急な発熱(38度〜39度)をしやすいのは?

   A1 インフルエンザ
   A2 かぜ症候群

Q7 インフルエンザとかぜ症候群の違いは?
   強い関節の痛み・筋肉の痛みが起こりやすいのは?

   A1 インフルエンザ
   A2 かぜ症候群

Q8 A型、B型で症状に違いはあるの?
  A1 ある
  A2 ある程度ある
  A3 ない

Q9 インフルエンザの治療で熱が出たらどんな種類の解熱剤でも使ってよいのか?
  A1 よい
  A2 わるい

Q10 インフルエンザの治療でウイルスに対しての薬について正しいのは?
  A1 飲み薬のみ
  A2 吸入のみ
  A3 どちらもある

Q11 インフルエンザに罹ったらどれぐらいたったら外出してよいですか?
  A1 熱が下がったらすぐに
  A2 熱が下がって2日後から
  A3 熱が下がって7日後から

Q12 合併症について
    大人の合併症で多いのは?

    A1 脳炎
    A2 肺炎
    A3 中耳炎

Q13 合併症について
    子どもの合併症で多いのは?

    A1 脳炎
    A2 痙攣(けいれん)
    A3 気管支炎 中耳炎 (肺炎)

Q14 インフルエンザの予防で有効なことは?
  A1 手洗い・うがい
  A2 人ごみを避ける
  A3 マスクをする
  A4 栄養と休養
  A5 適度な温度湿度
 
Q15 インフルエンザの予防にワクチンの接種がありますが、接種回数について正しいのは?
  A1 基本的に大人は1回、子どもは2回
  A2 基本的に大人は2回、子どもは1回
  A3 基本的に大人は1〜2回、子どもは2回

Q16 妊婦さんへのワクチン接種は可能ですか?
  A1 可能
  A2 不可能
  A3 妊娠時期では可能

Q17 授乳中のワクチン接種は可能ですか?
  A1 可能
  A2 不可能

Q18 新型インフルエンザの診断はどうするの?
  A1 痰の検査
  A2 鼻粘膜・咽頭粘膜からの検査
  A3 胸部レントゲンの検査

Q19 新型インフルエンザは今までのインフルエンザと比べて、短期間にどんな病気になりやすい?
  A1 胃腸炎
  A2 腎炎
  A3 肺炎

Q20 新型インフルエンザはすぐそこに来ている?
  A1 来ている
  A2 来ているかどうか分からない
  A3 来ていない

Q21 新型インフルエンザの対策は整っている?
  A1 整っている
  A2 整いつつある
  A3 整っていない

Q22 新型インフルエンザなどの世界的大流行を何と呼ぶ?
  A1 パニック
  A2 パンプキン
  A3 パンデミック

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