2012年12月に、超音波エコーのVscanを購入しました。診察室でのちょっとした検査に便利だと考えたからでした。つい先日も「左肘の内側が痛くて、しこりがある」と来院した20歳代男性を診察し、すぐにしこりをVscanで検査しました。熱や発赤がないこと、エコーでも特異的な所見がなかったことから、「ガングリオンか筋肉の良性の腫瘍の可能性はあるが、悪性の病気ではない」と説明しました。患者さんは「これでしばらく安心して眠れます。気になったら、整形外科を受診します」と言って帰りました。

「肘の内側が痛くて、しこりがある」などと患者が訴えれば、Vscanですぐに検査している。

 地域の救急医は、間口は広く構え、重篤かどうかを判断して他院に振り分けるのが重要な役割だと考えており、こうした患者さんの症状をスピーディーに判断する上で、Vscanは有用だと感じています。胸が苦しい、腰の後ろが痛い、といった場合にも、心機能の低下や尿路結石の有無の確認がすぐにできます。

 起動時間が短く、どこにでも持っていけるので、救急搬送された患者さんをCT室に運び込み、撮影の準備をしている間に、撮影部位をVscanで先に検査することも可能です。通常の超音波エコーもワゴンに載せて運べますし、1〜2分で起動しますが、Vscanの機動性にはかないません。

“コンビニ受診”を受け入れたい
 川越救急クリニックの開業前後には、「コンビニ受診を助長する」という批判を周囲から受けました。休日や夜間に緊急性のない軽症患者の受診が増え、「患者側のモラルが低下する」という理屈です。でもこれは、医療サイドの見方であり、病気のことをよく知らない住民を見下した言い方のように思え、以前から違和感を抱いています。

「患者さんや家族にとって、病気やけがは休日や昼夜に関係ない。そういう住民の不安を少しでも和らげるのが、私の役割」と上原氏は語る。

 夜中に子供が発熱すれば、親は心配です。休日に急にめまいが起きれば、悪い病気かもしれないと不安になります。鼻血が出たり、転んでけがをしたり、やけどをしたり…。病気やけがは、患者さんや家族にとって、休日や昼夜に関係ありません。そういう住民の不安を少しでも和らげるのが、私の役割だと考えています。コンビニ受診、大いに結構なのです。

 そもそも「コンビニ受診」という言葉が登場した背景には、夜間や休日の突然の病気やけがに対応できる医療機関の少なさがあります。また、「救急病院」に問い合わせても「今は専門の医師がいないので対応できない」と言われることが多いと聞きます。

 サービス業では、例えばコンビニエンスストアは24時間365日、商品やサービスを提供するのが当たり前になっています。病気やけがも、24時間365日、休みなく起こります。それに対応できるのは医療機関だけなのです。当院はまだ力不足で、そこまでの対応はできませんが、かつて「午前7時〜午後11時」だったコンビニが24時間営業になったように、地域住民のニーズに少しでも応えられる救急医療の実現に向け、努力を続けていきたいと思います。