当院では、在宅で200人前後の人をケアしており、そのうち10〜20人は終末期の方です。診療は月曜〜土曜午前で、水曜と土曜の午後および木曜の終日は訪問診療に充てています。とはいえ、終末期の方や、急に具合が悪くなる方のケアのため、土曜も含めて毎晩20〜21時まで看護師と一緒に患者さんの家を回っています。

 私の在宅ケアの特徴は、外科出身であることを生かしていることです。患者さんの自宅でも中心静脈栄養の穿刺・管理を行いますし、人工呼吸器の管理も行っています。脳圧亢進時の点滴を含めた対応、輸血など、病棟で行う処置の多くを、在宅で行っています。

 また、麻酔科の技術も持っているので、外来のペインクリニックでは、星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、仙骨ブロックなども行います。硬膜外麻酔は、在宅での疼痛管理としても重要です。

外科出身でありながら、麻酔科や精神科の診療技術も持つ八幡氏。豊富な知識や経験をフルに生かして、患者の診察に当たっている。

患者を中心に医療・介護連携を図る
 終末期ケアに必要だと考えて、精神科で研修した知識・経験を生かすため、心療内科も標榜しています。外来ではうつ症状を訴える方などのケアも行っています。うつは、自律神経の混乱により意識下のリズムが乱れることが一因とされています。うつ病で自律神経症状の強い人に星状神経節ブロックを行うことによって、その意識下のリズムが整えられ、症状が好転することはしばしば経験しています。

 このように、私は自分の知識、技術、経験をフルに生かして、外来診療、在宅医療を行ってきました。これまでの実績から、近隣の日野市立病院や東京都立神経病院(東京都府中市)などから患者さんを紹介されるだけでなく、時には患者さんの自宅が近いということで、都心の都立大塚病院(東京都豊島区)などからも紹介があります。

 こうした診療は、もちろん私一人でできることではありません。当院の看護師、スタッフだけでなく、24時間365日の訪問看護を行う訪問看護ステーション、ケースワーカーなどとの連携が欠かせません。また、高齢者・身体障害者の介護施設および介護支援所との連携も増えています。

 連携する上で私が重視しているのは、患者さんを中心にして、医療者や介護関係者のケアが途切れないようにする体制作りです。「その人が中心」と言いながら、どうしても医師は医師の立場で、介護者は介護者の立場で、診療や介護サービスを組み立てがちです。そこで私は、クリニックの中に会議室を作り、患者さんを中心にした関係者の集まりを開こうと提案しています。患者さんに一番いい状態で過ごしてもらえるよう、諸施設が適宜サービスを見直すためのカンファレンスです。

 理想は、広島県御調町(現在は尾道市)の公立みつぎ総合病院の地域包括ケアシステムのように、医療、保健、看護、介護、福祉、行政が一体となって、地域の人を見守る体制です。組織ではなく、チームとして動けるよう、私も尽力していきたいと考えています。