【医療情報学連合大会】豪パース市長が豪州の医療・ヘルスケア先進例を紹介

第31回医療情報学連合大会(第12回日本医療情報学会学術大会)@鹿児島

パース市のスカフティ市長

 第31回医療情報学連合大会では、開催地鹿児島市の姉妹都市である豪州パース市からリサ・スカフティ市長を招聘した。同市長は、パース市や西オーストラリア州の医療やヘルスケアについて講演を行った。
 
 パース市のある西オーストラリア州は2500万平方キロメートル(全体の3分の1)という、日本の7倍もの広大な面積を持つが、人口は230万人で国全体の10%に過ぎない。こうした地域特性に適した医療を提供するために、ITなどさまざまな技術や要素を積極的に取り入れている。
 
 スカフティ市長が代表例として上げたのが、遠隔地で鉱業や林業に従事している人々のための“空飛ぶ救急車”ロイヤル・フライング・ドクター・サービスだ。西オーストラリアでは、毎年8000人以上の患者を搬送し、飛行距離は700万キロメートル(月と地球の間を9往復する計算になる)を超える。「WAヘルスと呼ばれる西オーストラリア州の公共医療サービスは、健康関連サービスなどに年間60億ドルを超える予算を使っている」とスカテフティ市長は説明する。WAヘルスは、58自治体の148の郊外型医療機関と接続しているブロードバンドネットワークも運営。遠隔画像診断やビデオ診察などに、日常的に利用されているという。

 同時に「病院の新築や機能向上のための改装、医療サービスの高度化を目的に、今後数年間に50億ドル以上の予算を計上している」(スカフティ市長)。典型的な例が、市郊外南部に建設中のフィオナ・スタンレー病院。783床規模のこの病院には、電子カルテや遠隔医療サービスを実施するためのシステムを導入する。豪州全体で2012年7月に稼働するPCEHRにも対応するという。
 
 ちなみにPCEHRとは、Personally Controlled Electronic Health Recordの頭文字を取った略語で、国民が自分の診療記録を登録・管理できる全国規模の電子カルテシステムを指す。具体的な機能としては、入退院・紹介、患者の診療プラン、電子入院通知や退院サマリー、医学判断支援付電子紹介、電子薬剤処方せん、患者ケアプランの電子共有化などが挙げられる。
 
 最後にスカフティ市長は、西オーストラリア州でもパース以外の地方での医療従事者確保が難題となっていることに言及。州北部のアボリジナルのコミュニティに対し、電子カルテなどITソリューションを利用した遠隔医療を提供するのに加えて、「州南部の内陸部に5年間で5億6500万ドルを割り当てる。まず、公的な金銭的インセンティブを民間開業医に提供し、緊急診療体制と一般医を確保する。また遠隔医療ソリューションを用いて、病気予防や早期発見、健康推進、慢性疾患管理といった医療ケア提供に注力する」と解説した。

(本間 康裕=デジタルヘルスOnline/医療とIT)

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