iPadなどツール登場で勢いづくクリニックのIT化

クリニックITフォーラム 2011

パルソフトウェアサービスが開発した「BEAR-D」

 12月11日に日本科学未来館で開催された、メディプラザ 主催「クリニックITフォーラム 2011」では、展示および体験コーナーがあった。電子カルテの周辺システムを中心に、クリニックのIT化を支援する機器やソフトウエアやソリューションを展開するベンダーが15社集い、医療の効率化や付加価値向上のあり方を訴求。どのブースでも来場者がじっくり話を聞く姿が見受けられた。

 医療のIT化で頭に思い浮かべるのは、電子カルテシステム、医事会計システム、PACS(Picture Archiving and Communication System、医用画像保管管理システム)などだ。実はその周辺には、IT化されれば利便性の高まるものが数多くあるという。その1つが問診票だ。紙の問診票を患者に記入してもらうのが一般的だが、記入された情報のデジタル化や電子カルテとの連携性に課題があった。ここに登場したのがiPadアプリである。「BEAR-D」はパルソフトウェアサービスが開発し、医療システムズが販売しているタッチパネル式問診票アプリである。

ウィンテクノのiPad対応アーム類

 患者は、iPadの画面を見ながら設問に対して絵や大きなボタンを指でタッチして答えていくため、入力に面倒さやストレスを感じにくい。入力された情報はXMLデータで保存され、電子カルテとの連動が可能だ。設問数を増やすなど、問診票をクリニックや診療科のニーズに合わせて自由に作成できる。

 診療シーンでのiPad活用には、本体の運搬の問題が生じる。それを解決するのがウィンテクノのiPad対応商品群だ。デスクに取り付けてiPadを保持するアームや、ベッドサイドへの設置を想定したスタンドなどが展示されていた。診察室や検査室の限られたスペースを有効に使えるのに加えて、医師や看護師がiPadを持たずに操作できるため、労働生産性が向上する。盗難防止や固定を目的に、アームやスタンドにiPadを南京錠でロックできるセキュリティ金具も展示していた。

iPad上でピンチイン、ピンチアウトすると高解像度モニター上の表示も同様に動く

 ナナオは、医用画像(DICOM画像)をGSDFで表示できるiPad連動医用画像表示モニター「RadiForce」を出品。iPadで画像を指でピンチイン、ピンチアウトさせれば、モニターの画像もそれに連動して動く。iPadとはPCを介さず直接接続できるため、見たいときにさっと見られる簡便性がメリットだという。

 医事会計システムソリューションでは、NTTデータアイのレセプトチェックシステム「レセプト博士」が出展されていた。これまで1件1件目視点検が必要だったレセプト院内審査業務が、このソフトウエアを利用すれば効率化と精度向上が実現する。目視点検は時間と労力がかかるにも関わらず、点検者のスキルが違うためチェック品質にバラつきが生じていたという。しかし、算定チェック、疾患チェックという2種類のチェックを自動で行うことで、精度の高いレセプト作成の支援が可能だ。

 医療の現場では、「電子カルテを導入してもなかなか紙が減らない」という声がよく聞かれる。保険証や紹介状、検査結果シートなど、紙の書類が数多く存在するからだ。これらを高速デジタル化するのが、コダック i2600 スキャナー「medical scan」だ。白黒・グレースケールであれば、A4縦送り、200/300dpiで最大50枚/分処理できる。IDカードやエンボス付きカードのスキャニングも可能という。オプションの「コダック キャプチャ プロ ソフトウエア」を利用すれば、種類の異なる書類を自動仕分けできる。

ヘルスケア用ホームゲートウエイ端末のコンセプトモデル

 介護や在宅医療を意識したソリューションとしては、ヘルスケア用ホームゲートウエイ端末のコンセプトモデルが、東京エレクトロン デバイスから出展されていた。これは、健康機器や医療機器のデジタル化促進と通信規格の統一を目標に設立されたコンテニュア・ヘルス・アライアンス対応の血圧計や体重計、歩数計などのヘルスケア機器を無線で自動接続して測定データを取得。これを端末上で自動管理すると同時に、データセンターとの通信や、ゲートウエイ端末が持つセンサーやカメラを利用した周辺のモニタリングが可能だ。老人ホームやケアハウスで入居者のベッドサイドなどに設置する例が考えられるという。

(吉田 育代=委嘱ライター)

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