「地域EHR」の概要を発表、埼玉利根保健医療圏地域医療連携推進協議会

地域EHRの概要を説明する中野智紀氏

 NPO法人 埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークが11月18日、第7回研究会を埼玉県加須市で開催。同ネットワークの事務局担当で、埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会の中野智紀氏(東埼玉総合病院、代謝内分泌課・地域糖尿病センター)が、「地域医療再生計画による医療ITネットワークの構築と糖尿病診療新時代」と題した講演の中で、同医療圏で構築を進めている地域EHRの概要を紹介した。

 埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会の「埼玉利根保健医療圏地域医療ネットワークシステム」(とねっと)は、地域医療再生基金を基に構築が進められている。中野氏は、「6市3町(行田市・加須市・羽生市・久喜市・蓮田市・幸手市・宮代町・白岡町・杉戸町)の自治体の首長、医療圏内のすべての医師会、さらに基幹病院も加わり、地域総動員体制で協議会を持てたのは非常に素晴らしいこと。東京医科歯科大学の田中博先生からも、システムだけでなく、複数の医療機関(医師会、基幹病院)、行政機関によって設立した協議会により管理・運営される医療ITネットワークは、全国的にも先進的なモデルだと評価を受けている」と強調した。

 「とねっと」の特徴は、情報参照、診療予約・検査予約、連携パス、かかりつけ医カード、グループウエア、統計機能の6つのツールの接合体であること。「各医療機関で実施された検査結果などが、どの医療機関でも参照できる。加えて、地域全体でどのような患者さんがいて、どのような医療的介入がなされているかなど、地域の医療情勢の見える化が可能になる」(中野氏)。

 また、連携パスによる診療計画を基に地域全体で患者さんを診ていく、“地域を1つの病院に”という構想をサポートするシステムになる。「かかりつけ医カードは将来的な計画だが、地域共通診察券といった感じで地域共通IDとして利用する。データセンターに患者さんのデータが蓄積されていけば、救急医療にも役立てられる」(中野氏)と説明した。

 今後「とねっと」は、医療機関同士の医療連携に留まらず、情報共有・活用の範囲を薬局などにも広げると同時に、将来は患者自身が血圧・体重などの情報を蓄積・参照するPHRとしての活用も視野に入れている。

 中野氏は、その他にITを使って地域ぐるみで診療できる具体例として、東埼玉総合病院の地域糖尿病センターが中心となって始めた「バーチャル糖尿病検診センター」についても紹介した(関連記事はこちら)。バーチャル糖尿病検診センターは、埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークの事業として実施されている。未診断、未治療、治療中断状態の糖尿病患者を地域の歯科診療所や薬局などを活用してスクリーニングし、適切な治療ルートに載せていくための仕組み。「糖尿病の治療を中断してしまった患者さんや、検査で異常があったにもかかわらず専門医にかかっていない人でも、歯科診療には通っているという実態があった。そこで、地域ぐるみで糖尿病患者をスクリーニングしていく仕組みとして、歯科診療所の活用を考えた」と動機を述べ、バーチャル糖尿病検診センターのワークフローを説明した。

 また、同病院でのIT活用事例として疾病管理システムによる糖尿病重症化予防のための疾病管理マップの運用についても紹介。「ITツールを使いながら、いかにして地域全体を1つの病院ようにしていくか。今後もこの研究会で検討していきたい」(中野氏)と述べた。

(増田 克善=日経メディカルオンライン/デジタルヘルスOnline委嘱ライター)


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