「ソフトウエア単独では医療機器ではない」−医療機器ビジネス参入促進狙い薬事法セミナー開催

産業技術総合研究所「食と健康」医農工連携人材育成事業連続講座

産総研ヒューマンライフテクノロジー研究部門副研究部門長の本間一弘氏

 愛媛県松山市で、8月5日に「食と健康」医農工連携人材育成事業連続講座の第2回が開催された。産業技術総合研究所(産総研)四国センターが主催し、経済産業省四国経済産業局が共催する講座。手続きの煩雑さなどの理由で敬遠されがちな薬事法の対象となる医療関連事業に、民間企業の参入を促そうとする試みである。

 愛媛県保健福祉部健康衛生局による薬事法の概要の解説に続いて、産総研ヒューマンライフテクノロジー研究部門副研究部門長の本間一弘氏が、医療機器ソフトウエアの開発・販売に関する参入方法を解説した。

 医療機器は、薬事法第2条で「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいう」と定義されている。以下の4つのクラスに分かれており、医療機器製造業、医療機器製造販売業の資格を保持している企業に製造販売が許可されている。

●クラスI:一般医療機器 不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの。体外診断用機器、X線フィルム、歯科技工用用品など、品目ベースで1195品目

●クラス供Т浜医療機器 不具合が生じた場合でも人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの。MRI、電子式血圧計、電子内視鏡、消化器用カテーテル、超音波診断装置など、1789品目

●クラス掘不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの。人工透析器、人工骨・関節、人工呼吸器、バルーンカテーテルなど、751品目

●クラス検Э襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの。ペースメーカー、人工心臓弁、ステント、332品目

 また、医療機器ではないものとしては、治療計画やシミュレーション用の機器、医師のトレーニング用機器、診断に寄与しない表示、医療情報の蓄積管理、事務処理、健康器具などがあげられる。

 本間氏は、ソフトウエアやネットワーク化が進む社会の現状と、薬事法の規定が乖離している部分についても説明した。第一が「薬事法の対象がハードウエアに限定されており、ソフトウエア単独では医療機器として認められない」(本間氏)こと。ソフトウエアはハードの機能の一部として定義されているという。しかし「米国をはじめカナダ、オーストラリア、欧州諸国、中国では、ソフトウエア単独で医療機器として認められている」(同氏)とのことで、日本の対応の遅れが浮き彫りになっている。

 また、同様の理由から「納入先に出向いて行うオンサイトでの改修や、ネットワークを経由したダウンロード販売などはできない」(本間氏)。ハードも含めた商品全体を引き取って、認定を受けた製造所で改修し、再納入するというプロセスを踏む必要がある。「(これらの規定については)実情にそぐわなくなっている」(本間氏)。


 ネットワークについても、「仮想化やクラウド、グリッドコンピューティングなどの技術を用いて、ネットワーク接続によって医療機器として機能する場合は、医療機器とみなされる。一方、ネットワーク自体やデータを蓄積するサーバー、診断用でないPCは非医療機器となる」(本間氏)。例えば、遠隔医療の場合、患者の診断をするセンサーや監視装置、離れた病院で医師が利用する診断機器や高精細モニターは医療機器だが、ネットワーク用の機器、情報を蓄積するサーバー、診断に使用しないPC(会計や雑務などに使用)は非医療機器というように、非常に複雑になっている。本間氏は「承認申請書に記載する範囲で審査・承認をする。空間的な距離の有無や大小は無関係」と説明した。

 続いて、東光(本社徳島市)常務の細束正一氏が、薬事法製造業許可企業「体験談」と題して、実際の体験に基づいてアドバイスを行った。同社の主力商品は、静脈瘤の患者などが用いる主力製品の医療用弾性ストッキング。2004年に保険適用となったのに続いて、2005年にクラス気忙慊蠅気譴燭燭瓠△修譴鉾爾辰道餝福憤緡典ヾ鐇渋ざ箸醗緡典ヾ鐇渋と稜箒函砲亮萋世筺∪宿覆瞭禄弌∪渋す場の改修などを実施した。工場に関しては、防塵、防虫、異物混入防止対策、更衣や手洗いの徹底をはじめ、医療機器専用の建屋への改修、医療機器製造従事者と非従事者が交錯しないような動線設定に苦労したという。

 同講座は、四国4県の県庁所在地持ち回りで、2カ月ごとに開催される。次回は10月3日に徳島市で開かれる。

(本間 康裕=医療とIT/デジタルヘルスOnline

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