【ホスピタルショウ】岐阜大学が医工連携の実証実験に関する展示を実施

岐阜大学医学部附属病院、岐阜大学工学部、岐阜県研究開発財団など

矢印と棒グラフで5年後の予測を表示する

 ホスピタルショウでは、医工連携で高度な医療機器の開発を目指して続けられている実証実験に関する展示が、岐阜大学のブースで行われた。 2009年度から3年間継続している文部科学省の補助事業で、産学官、医学工学の連携による高度医療機器開発を推進する「地域イノベーション戦略支援プログラムの都市エリア型[岐阜県南部エリア]」として実施している。

 展示の1つが、個人ごとの体質に応じた個別化医療支援システム。岐阜県研究開発財団と、岐阜大学、タック(岐阜県大垣市)が参画している。大量のデータを扱うデータマイニング技術を利用して、過去に蓄積された検診データや診療データを分析。個人単位で生涯にわたって健康情報として統合管理するなど、個人個人の体質に応じた個別化医療支援システムを開発し、個人の健康状態の向上につなげる。つまり、データベースを基に高血圧、糖尿病、脂質異常症、貧血などにかかるリスクを個人単位で予測して、それを健康状態の維持や改善につなげ、地域全体として疾病率を下げようという試みである。

 現在は、県内のいくつかの企業での検診データの過去6年分、約40万件を利用している。自分の健康状態がどの程度なのかをドットマップで把握できるほか、現在の検査値を基点として将来どのように検査値が変動するかを予測した結果が矢印で表示される。例えば、現在BMIが27の人は、5年後のBMIが同じケースが77%、5ポイント下がるケースが6%などだ。

 また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、貧血などに5年後にかかるリスクも、別途棒グラフで表示される。また予想される疾病に関する情報も、データベースから検索できる。今後も商品化を目指して、実験を進めていくという。

危険パターンを認識するとアラートを表示する

 もう1つは、敗血症モニター。敗血症の早期発見のために、敗血症の前駆症状を、自律神経活動指標(心拍数、呼吸数、動脈血酸素飽和度SpO2、深部・末端部体温など)の計測データを利用して検知し、通知するシステムを開発するのが目的である。こちらは、岐阜大学医学部附属病院高次救命治療センター、岐阜大学工学部応用情報学科、エー・アンド・デイが参画している。


 敗血症は細菌感染が全身に波及したもので、早期に治療しないと死に至る可能性が高い。患者の身体に装着するセンサーなどから細菌が体内に入って、症状を起こすことが多いという。「現在は血液検査で対応しているが、それでは時間がかかる。敗血症モニターによって、素早い対応が可能になるのではと期待している」と岐阜大学産官学連携研究員の河村洋子氏は説明する。

 具体的には、岐阜大学から130人、2500日分のデータを受けて研究開発を進めてきた。今年からは実際の患者のデータ10人分も取得している。研究の結果、敗血症ショックを発症する患者からは、ショックを起こす半日から1日半前に急激に心拍変動が減少して、その後上昇に転じるという特徴的なパターンが共通して観察されたという。このパターンが観察されたときにいち早く医師にアラートを出すモニタリングシステムがあれば、敗血症で亡くなる患者を減らせる可能性がある。こちらも今後の商品化を目指すと同時に、他の疾病にも応用できないか研究を続けるという。

(本間 康裕=医療とIT/デジタルヘルスOnline

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